すぎ

あの頃エッフェル塔の下でのすぎのレビュー・感想・評価

あの頃エッフェル塔の下で(2015年製作の映画)
4.5
本作は中年男性の主人公ポールが
「身を焦がすほど好きになった女性との初恋」
を思い出す事により、また1つ男として熟していくようなお話なんじゃないかなと。

若い男性が失恋してすぐ成長する物語ではなく
中年男性が過去の思い出によって成長していく
ここが興味深い!

過去回想のシーンでは、穴から覗き見をしているかのようなエフェクトがかかった画面が多い、
けれど後半になるにつれ、まるで視界が晴れていくかのようにエフェクトはいつ間にか消えている。

男の視界が開けたのか、あるいはぼんやりとした記憶だったものが恋人エステルの思い出になるにつれ、覚醒していく事を指し示すのか。

とにかく、後半に進んでいくほどポールが過去の記憶にのめり込んでいくのがよく分かるのです。
それにつられるかのように映画に引き込まれてしまう。

恋愛に夢中になった経験がある人は、色んな気持ちを味わって来たのではないでしょうか。
映画の中から例を出すなら
「身を捧げるほど愛する!」とか「他の人に気持ちが揺らいじゃう」とか...

恋愛って面白いくらい色々な感情が沸き上がりますよね、
愛しさ・優しさ・憎しみ...挙げたらキリがないほど

沢山の感情が沸き上がると、自分を抑えきれなくなって心が暴走。

「絶体絶命!こんな辛い目にあってる人他にはいないかも!!」

と一大事にもなる事も。けれど他人の目から見れば至って普通の恋愛だったりする。

この映画を見ることで、そんな記憶が
「あ〜恋に悩んだ事もあったなぁ。なつかし〜」
と優しく呼び起こされる気がします。

こういうが話が染みるのは、誰かを好きになった経験があったからだと!恋愛っていいものですね!


話だけじゃなくて全体的な間合いもすごくいい映画です。ゆったりしてる。
画面の作り方とか演出とか普段の生活にありそうなんだけど、どこか豊か。

いい香りの高級ボディークリームをたっぷりと体に塗ってるみたいな満足感を得ました。
すぎ

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