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裁きのkyokoのレビュー・感想・評価

裁き(2014年製作の映画)
3.9
インドだけど踊らないよ。

自殺幇助の罪で起訴された老歌手の事件をめぐる法廷劇。
独特な裁判風景はかなり興味深く、多言語、多宗教、階級制度…まるでインド社会の縮図を見せられているようだ。私の知識が足りなくて理解しきれていないところがあるのが残念。

裁判の合間には結構な尺で女性検事と弁護士の私生活シーンが挿入される。弁護士はいい車でジャズとか聞いちゃう。高級スーパーで無造作に食材をカゴに入れちゃう。でも独身で結婚結婚と親がうるさい。検事は裁判所出たら普通の主婦。献立に悩みながら学童クラブで子供をピックアップ。一家が腹かかえて笑いながら見ているのは、吉本新喜劇的なノリで移民ディスってる劇。

裁判の行方はそれなりに盛り上がるけれど、そもそもが明らかな冤罪なのでそこまで緊迫しない。むしろメインは、裁判をとりまく人々を通して醒めた目で俯瞰した今のインドが抱える問題であり、貧困やテロをめぐる法律などは決して人ごとではないのだと考えさせられる。
一族総出大騒ぎバケーションから一転、静寂が広がるエンドロールは、ほんとは能天気に歌ってる場合じゃないんだよね、と言っているようだ。
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