slow

裁きのslowのレビュー・感想・評価

裁き(2014年製作の映画)
3.9
老歌人の歯に衣着せぬリリックが、軽快なリズムに乗り、調子の良い合いの手を受けながら、街頭の小さなステージにて響き渡る。それはインドの日常的な風景の一つなのだが、暫くすると老人は大勢の警官に取り囲まれ逮捕されてしまった。一体彼にかけられた容疑とは。

これは、誰のための裁きなのか。これを観たら、あなたもそう言いたくなるはず。本作は老歌人の物語ではないし、熱い法廷ドラマでもない。敢えて言うなら、「インドのお話」なのだろう。固定カメラでその暮らしと対象者を観察しているようなスタイルは、ズビャギンツェフやハネケと似ているかもしれない。
裁判の行方(救い)に対して、誰もが無関心であるかのような印象を受ける。何か司法制度のシステムや関連する職業はあるものの、その役割が果たすものを人々はとても薄っぺらく捉えているよう。中国やインドほどの人口を抱える国では、行き届かない事の方が多いのだとは思うけれど、あの乱雑な法廷を見ていると、見える真実も見えてこないのではとも思う。これがインドのリアル。