裁きの作品情報・感想・評価

「裁き」に投稿された感想・評価

壇上で歌う老人の顔に張りついているのは、怒りだ。
猛々しい歌声に乗せて、内側からふつふつと湧き上がってくるような、静謐な怒り。
社会が急速に発展し、いたるところに生じた隙間を、法律は埋めることができていない。
弁護士も検事も判事も、法廷のなかではあくせくと働き、かれらの職務と、誠実に向き合っている。
それなのに議論はいっこうに噛み合わず、主題はどんどんずれていく。
富裕層がリゾート地で世界経済を論じるいっぽうで、自分の正確な年齢さえ知らない人々がいて、その家族が無知によりむざむざと死んでいく。
その死が、権力の都合で歪められ、あるいは利用される。
権力が、それを行使するものの裁量に委ねられて、社会に綻びを生み出している。
その綻びを繕うはずの法律が、かえってもつれを大きくしている。
老人は、そのことに怒っている。
音楽、文学、それに映画。
わたしたちはそれを自由に歌う権利がある。
わたしたちはそれを自由に読む権利がある。
わたしたちはそれを自由に観る権利がある。
これは遠い異国の出来事ではない。
その怒りが隙間を埋める。
その裁きが権力に抗う。
もっと怒りを。
もっと裁きを。
かめの

かめのの感想・評価

4.2

裁き、という題名にもかかわらず、裁かれる者の顔もよく見えないし、心情も語られない。ただその弁護士にフォーカスが当たる。カメラは基本遠い。

無罪のはず…なんだけど、被告人は抵抗することもなく、憮然としている。いったいこの裁判では何が、誰が裁かれているのか。

直接物語に関係しないように見える場面が挿入されていたり、カメラは長かったりして、明確に起承転結のないお話でとても面白かったし、個人的に好き。歌もノリノリ。でもって、インドの現状を知っていれば、より理解は深まるんだろうなぁということは伝わってきた。
dadadany

dadadanyの感想・評価

2.8

このレビューはネタバレを含みます


・舞台演劇
・エンディング
・ビンゴ
・バスの中
・多民族
仮眠3回。
2日かけてやっと観終わったぁ〜(;´д`)
私の知っているインド映画は明るく楽しく潔く、勇者と美女の出てくる笑いと涙のワンダーランド◡̈*♚‧*˚✩‧₊˚
これは…現実世界のインドです。
ナレーション入っていたらドキュメンタリーそのもの。

同じ法廷ものでも先日観たビリー・ワイルダーの華やかなお話とは大違い。

自殺を煽る歌を唄ったと、アホみたいな罪で勾留された民謡歌手のおじいちゃん。

なんとか彼を助けようと頑張る弁護士の前には融通のきかないおばさん検察官に雇われ目撃人。

極め付けは高い保釈金を弁護士に払ってもらったのに、数日後にまた捕まるおじいちゃん!
なんで捕まるのか分かっとらんのかい。
彼にとってはどうでも良いことのようにも見えてくる。

だけどもう勘弁して下さい。
私をテレビの前から解放して下さい。

「唖然とするラスト」が待っているとゆう情報にすがりながら、なんとか耐えて耐えて迎えたラスト。

エンドロールが流れた途端、私、ひっくり返りました。
確かに、これは唖然とするワぁ〜(;´д`)


インドで外国人が捕まったら永遠に出てこれないんじゃないか。
そんな事が脳裏をよぎりました。
ip

ipの感想・評価

3.0
かなり期待していた作品だったのだけど、外したか。冒頭は被告人になる人視点で進み、いつの間にか弁護士にスイッチ。誰の話なのだろう。そして事件の結末は一体どうなったのだろう。

あと、無意味な場面とかも多い。バーで歌われるブラジルの歌とかあとにどう繋がるのかなと思って見ていた。

インドに限らず制度が不十分な国では、こうやって無実の人間を凶悪犯罪者に仕立て上げていくのか。そんなことに労を割くなら本物の凶悪犯を取り締まれよというのをこの映画のメッセージとして受け取った。
5年も前の作品とはいえ、これでは安心して司法に委ねられる国ではないね。まぁ、日本もこれと同じように警察官の気分次第で言いがかりの立件とか当たり前にあるので司法先進国と呼べないですが。

このレビューはネタバレを含みます

人が人を裁く、とは一体。
下水道で息を絶った清掃員は自殺なのか、他殺なのか。その鍵を握るのは一人の老人であった。歌や踊りに彩られ、裁くことそのものが剥き出しにされていく。
意欲作であることは認めざるを得ない。この設定を用いてクライムやサスペンスに落とし込むどころか、そちらに傾いていく気配すらも見せない、非常に強気な作品であった。しかし、人が人を裁くこと、そしてその裏側に広がる無数の言動や表情、生活を浮かび上がらせるには、この作品の尺と威力とでは釣り合っていないように感じてしまった。どちらに転がしていくのかが曖昧なまま多くの時間を費やさなくてはならなかったように思う。
それでも、終盤からクライマックスまでの展開、作りは非常に見事だったように思う。あのラストシーンがあるとないとじゃ大きく違ってくるように思える。
銀幕短評 (#235)

「裁き」
2015年、インド。 1時間 55分。

総合評価 36点。

原題は、“裁判所”。 インドの法廷映画。冤罪?で逮捕、拘留された男を 弁護士が救おうとする。しかし、裁判外のシーンも多く、世相をよく表している。

インドの法廷では、基本的に英語で会話をする。植民地時代の名残りか、現地語方言が多いせいか。原告(検察)と被告弁護人が不規則発言で相手を攻撃しあっても、判事は注意はせずに、それぞれに耳を傾ける。さすがはインドである。簡易裁判所から地方裁判所に 裁判は持ち上がる。これらのやり取りは、なかなかおもしろい。

この映画は、ものがたりの起承転結という定石を採らない。ボールを、手の届かないところに放り投げたままである。観者であるわたしは、そのボールが転々と転がり行くのを 黙って見やるだけである。どこまで転がるのだろうと思いながら。

インドには一度行ったことがある、これは「ダンガル 」(#226、91点)で書きました。司法のむずかしさの一端、とくに死刑制度については、「教誨師」(#159、67点)で感じました。アメリカで陪審員に選出されかけたことは、「ペンタゴン・ペーパーズ」(#113、88点)で触れました。あと、これはまだ書いていないことですが、アメリカに住んでいたときに、ある事件で裁判所から被告人として召喚されたことがあります。書くべきときが来たら、このはなしを書きます。
ろっち

ろっちの感想・評価

3.2
そこそこに面白かった。
インドの裁判事情を淡々と描いた映画。
信じられないような罪で逮捕される。流れ作業の様な裁判。
弁護士は何とか活路を見出して行くが…
まぁ多くは語るまい(笑)
くじら

くじらの感想・評価

2.0
自分には難しかった、、というか終始淡々としすぎてて何度も眠くなってしまった…
「おまいさん,どんな夢見たんだい?」
まいどお馴染み,天狗裁きでございました. ♪ピーヒャララドドドン♪
そりゃあたしだってたまにゃ古典の一本や二本かけますって.こんばんわ三遊亭呼延灼です.
下水管清掃員の自殺を促す歌を歌ったとして逮捕されたカンブレさん.タイトルから想像するのは無実を勝ち取っていくまでの熱い物語.でも実際はカンブレさんの裁判に携わる人々を中心としたムンバイ生活物語.弁護士・検事・裁判官,もちろん法廷を離れれば日常生活があるわけでして,弁護士さんは両親と諍うし,検事さんは子供を迎えに保育園に行くし,裁判官はヒャッハー一ヶ月のロングバケーションだぜぇぇって大家族(数十人!)で休みを満喫する.
それらを映し出すキャメラワークは極端に定点的.市井に生きる人々の地域に根差した生活を象徴しているかのようでした.市井の人々,定点カメラといえば人生タクシーという佳作を連想しました.あの作品はカメラに人々が近づいていきましたが,本作は日常の中にカメラがどんを居を構える感じであります.日常といえば,亡くなった下水管清掃員の奥さんが自身の年齢知らなかったり,マラーティー語とヒンドゥー語と英語が共存したりで,インドの日常を知る資料としても価値はありました.
印象に残ったのが一日の業務を終えた法廷シーン.当たり前だが時間がくれば室内の電灯は消され,ドアは閉じられ,誰もいない法廷室がそこに存在するだけ,そしてその真っ暗になった法廷をキャメラは映し出します.一ヶ月の休みが明けたその日の朝には,何事もなかったように解錠され電灯が灯り大勢に人々が集い粛々と裁判が行われる日常が深く感じ取られます.
裁判といえば,驚いたのがインドの裁判制度.まさに流れ作業.病院の診察のように案件が一つ終われば「次の人どーぞー」って新たな裁判が開廷される.効率的といえばいいのか,それだけ案件多いのかしら.
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