ベべべっち

尚衣院 サンイウォンのベべべっちのレビュー・感想・評価

尚衣院 サンイウォン(2014年製作の映画)
4.1
王宮を舞台に繰り広げられる世紀のファッション対決

ジャケ写の4人がそれぞれ悩める王、儚げな王妃、両班目前の御針匠(オチムジャン)、天才的デザイナーを演じる。

王室の衣類などを担当する尚衣院のトップの御針匠役にハン・ソッキュ。
ハン・ソッキュの作品は何故かスクリーンで観たいと思わされる。
今回も家のテレビでこれを観ている途中に「映画館で観たかったな〜」とか考えてしまっていた。

御針匠が王族に作る衣服は、古き伝統に則り上品で型にハマった、まさに匠の技という言葉が相応しい非の打ち所のない衣服。

対照的にコ・スが演じる町の天才仕立師は、型には一切ハマらない奇抜で斬新な機能性をも重視した衣服を作る。
韓服コスプレをしているマブリーすら満足させる仕上がり。

今作がどういう話だったかというのは、ちょっと短くまとめるのは難しい。
パク・シネ姉さんが王妃を演じるが、王様からは疎まれていて新参者の女に王妃の座を奪われそうになる。というか、ほぼ奪われる。

隣国の清の使者がくる一大イベントに、最高の衣服をハン・ソッキュに作らせようとする新参者の王妃。
それに対し、パク・シネ姉さんに恋心にも似た思いをよせる天才仕立師のコ・スは、全ての男の目を釘付けにし惚れさせるような最高の衣服を作らせてくれと自ら懇願する。

それぞれが作った衣服を身にまとって登場するシーンはめちゃくちゃ見応えがあって、最高のファッションショー対決だった。

本作はそのファッション対決だけでなく、愛憎や嫉妬が渦巻いた人間ドラマも見どころの一つで、ジャケの4人ともが主人公かのよう。
そこに韓服コスプレをしているマブリーのつけ入る隙はない。

特に印象的だったのが、自分の作った女性用の衣服を身にまとうハン・ソッキュと、喜怒哀楽をあまり見せないのにここ一番では泣きの演技を披露していたパク・シネ姉さん。
この二人の役の入り具合は素晴らしく、韓服コスプレをしているマブリーがふざけているかのよう。

切なくて儚いヒューマンドラマで、マブリーにもっと力があれば先の展開も変わったんじゃないかと思わずにはいられなかったが、この頃はパンプアップの時期だったから仕方ないか…。