たきゆか

ストーンウォールのたきゆかのレビュー・感想・評価

ストーンウォール(2015年製作の映画)
3.8
「パレードへようこそ」で描かれたのはレズビアン・ゲイの活動家たちが、サッチャー政権下で起きた炭鉱ストライキの際に炭鉱労働者の家族に金銭支援を行いレズビアンズ・アンド・ゲイズ・サポート・ザ・マイナーズの活動の端緒となった実話だった。それがほんの34年前の1984年のことであったことにまず驚く。それを遡ること15年ほど前のアメリカで実際にあった同性愛者たちによるストーンウォールの暴動を下敷きに作られたのが本作となる。
社会派の作品であることは間違いないが同性を好きであるということが異性間の恋愛となんら変わりがないという根幹の部分をダニーが繊細な心の動きで丁寧に表現して見せてくれたのがとてもよかった。相手の重荷になるかもしれないことを承知で「愛している」と真っ直ぐな瞳で言い切ったダニーの魂の昇華はあまりに高潔で美しかった。
ただ主人公が有名大学に通う白人の美形の青年で兄を慕う妹と息子を理解しようと葛藤する父母という設定は確かに甘いかもしれない。有色人種やドラァグクイーン、ブッチレズビアン、トランス女性といったストーンウォールの反乱に大きく関与した社会的少数者の描写を中心としたならまた話は大きく変わってきただろうとは思う。しかしストーンウォールの反乱を知らない人間には一定の知識を与えたと思うし、過激な行動にでてやっと世間の注目を浴び自分たちの権利を主張できるとした「未来を花束にして」で描かれたイギリスの婦人参政権運動を彷彿とさせる部分もあり、これは現在も連綿と続く戦いなのだとそんな想いが湧き上がってくるような映画だった。
余談。ゲイの美青年を演じたジェレミー・アーヴァイン、見かけもだけどお芝居の感じも岡田将生にすごく似てた。これちょっといいたかった。