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大いなる陰謀のクレセントのレビュー・感想・評価

大いなる陰謀(2007年製作の映画)
4.5
このままではすべてがCか落第だ。しかし、今年の君の成績はすべてBをあげよう。そう突然と教授に言われて生徒は驚いた。どうして、また。全然講義に出席していないのに。教授は話をつづけた。但し2つの条件がある。ひとつはこれからすべての授業に出ること。そして2つ目は最優秀だった2人の生徒の話を聞くことだ。そんな、みんな飛びつきますよ。これは君だけへのオファーだ。たしか君は出席していても私の目の届かないところに座っていたね? しかし質問したら私に挑んできた。君ね。大学教授はセールスマンだよ。僕に特別な配慮なんかいりませんよ。何故かね?何故自分に投げやりになるのだね? 以前はそうじゃなかったと言うんですか?そうだ。以前は授業に熱心で、宿題に出す本はすべて読んでいた。討論では鋭い意見を吐いた。どうしたんだね?だって女の子もできたし。ごまかすな。本音を言いたまえ。先生が傷つきますよ。私に気遣いはムダだよ。いいから言ってくれ。どうしたんだ。そしてここからが生徒の話が始まった。しかしこの話こそが、この映画の監督であるR.レッドフォードの持論である。生徒はこう言って話し始めた。先生は政治学って言いますけど、それって何ですか?有権者が何故ウソを信じるかという心理学ですか?それとも選挙に勝つための学問?勝てば政治の中身なんてどうでもいい。平気で馬鹿な悪党面を見せる。例えば大統領候補たち。大聴衆を前に立候補をしないということが候補宣言じゃあないですか。欺瞞もいいとこですよ。昔からのことじゃないか。教授が口をはさんだ。違いますよ。先生に習った古代の哲学者の時代は違っていた。この国の立法に関わってるワシントンのアホ野郎どもは、皆同じような髪形して、中身のない言葉を吐いている。そして偉そうに人に道徳を説教している。ふざけてますよ。平気で闇資金を動かして、バレると涙ながらに謝罪する。それに大抵はバレない。それが平民に勝る大きなことなんでしょうか?まったくくだらないですよ。君、素晴らしい論法だ。私は負けそうだね。でも一つだけ言おう。君にはハートがない。裏付けがないな。何かをやり始めたらどうなんだ。賭けてみろよ。本音を吐いた生徒は少し反抗心が薄らいでいた。そして何かを考えるように宙を見つめていた。そう、相手を打ち負かすだけが論争ではない。相手に考えさせることができればそれでいい。R.レッドフォードはそう言っている。私はこのシーンが好きだ。
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