渋い。エンターテイメント性という見方をするとギリギリだ。点数が辛いのもわかる。しかし紛れもなく大傑作。
邦題から受ける第一印象はありがちなポリティカルサスペンス。いや確かにある種ポリティカルサスペンスであるが、形式が独特。
3つのシチュエーションのリアルタイムの流れを追ってそれら全てがリンクしている。ここまではいわゆる群像劇では紋切り型だが、今作はそのうち二つが完全な会話劇ということだ。その二つの会話劇の結束するのが三つめのシチュエーション。
会話の中での表情やしぐさなどで欺瞞性や疑惑、慈愛や悲哀を現し、言葉やストーリーやアクションなどを上回るサスペンスを生み出す。
やりすぎともいえるほどの技巧派を集めたキャスティングはそのためのものだと首肯できる。
ブッシュ政権のアフガン侵攻を強烈に批判している。それ以前からのアメリカの正義の名のもとにおける異常な戦争好きにもストレートに抗っている。
メッセージ性はマイケルムーアのそれよりも強いぐらいだ。
何よりいち俳優であるところのロバート・レッドフォードがまさにリアルタイムでストレートに反戦を訴える映画を完成しうるアメリカのすごさよ。