シネマートで韓国映画を2本見たのですが、たまたま本作の監督が今日見たもう1本の「ゴールデンスランバー」の脚本も書いてたみたいです。
売れない俳優の男が、1972年の韓国と北朝鮮の南北首脳会談に向けて会談のリハーサルをするために北の将軍様である金日成の代役を引き受け、金日成になりきるために北朝鮮の知識などを教育され、話し方や身振りなどを徹底的に叩き込んでいくうちに、完全に同化してしまい、自分を金日成だと思い込んでしまうという話です。
こんなことあるかいな！って思ってたら、実際に金日成の代役を立ててリハーサルをしてたらしくて驚きました。
売れない俳優をソル・ギョングが演じてるのですが、この人の演技力は圧巻です。
気が小さいけど一人息子を大切に育てる優しいお父さんが、金日成を演じていくうちに狂気を帯びていき、年老いてもなお金日成であり続ける22年間を巧みに演じきって凄まじい迫力でした。
ただ、わたしが金日成がどんな声でどんな話し方をしたのかを知らないので、どれだけ本人に似ているのかはわからないのが残念ですが、正恩の声や話し方には似てたなと思います。
どのようにして金日成になっていったのかも見せ所ではありますが、前半の伏線が終盤に回収され、国家に翻弄され平穏な日常を奪われた父と子の切なくも強い愛と絆に泣かされました。
売れてないのに演劇がやめられず妻のことも守る事が出来なかった悔いや、息子が誇れるような立派な父親でありたかった、その切なる思いや、優しくて大好きだったお父さんが別人格になってしまい、息子がどんな思いで子ども時代や思春期を過ごしてきたんだろうかと、父親と息子のそれぞれの思いに胸がいっぱいになりました。
本作の写真の感じからして重くシリアスな感じかと思っていたら、意外とコメディタッチで描かれるシーンも多かったです。
それにしても、原題は「わたしの独裁者」で、ストーリーの中にも印象的に出てくるのですが、なぜ日本のタイトルを「22年目の記憶」なんてタイトルにしたんでしょうね？
「22年目の…」と言えば日本と韓国とで映画化してる「22年目の告白」(オリジナルの韓国版タイトルは「殺人の告白」)があるから、全然関係ない話なのにヒット作に寄せて乗っかる感じとか、ソル・ギョングの「殺人者の記憶法」から「記憶」を持ってきたのかなと安易さを感じてしまいます。
日本のタイトルをつけるとしても、もっと映画のテーマや内容に沿ったものを考えてもらいたかったなと思いました。
あと、高利貸しの人、顔が印象に残ってて、どの作品で見たっけな…と気になってましたが、「ベテラン」とか「殺人の告白」(だから「22年目の〜」にしたのか⁇)とか「ビューティ インサイド」や「恋するインターン」に出てたぺ・ソンウさんでした。
いい脇役です♡
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