秋日和

ベートーヴェン通りの死んだ鳩の秋日和のレビュー・感想・評価

4.5
笑っていいのかいけないのか分からないのだけど、フラーの映画を観ると、思わずプッと吹き出してしまう瞬間に度々出会う。病室でチョップを練習する男、落ちる為に存在していたかのような車椅子の男、そして冗談みたいな写真のコラージュ。
ショットの繋ぎもなんだか妙で、手紙と顔の高速カットバックや淡い闇の中にそびえ立つ巨大な建物を捉えたインサートショットには少し困惑してしまったし、その上視線が合う/合わないなんて関係ないよ、と言いたげな箇所もあって驚いた。けれどこの力強さ(楽しいデタラメ)がフラーの魅力だったなと一方で思ったり。
逃走、追跡、尾行(バレバレ)等々のアクションで映画を推し進めていくのが本当に心地よくて、観ている間「これが映画だ!」と何回思ったことか。時にちょっとふざけてみせる辺りも面白いし、フィクションとアクションを駆使して楽しんで映画を撮ってる感じが伝わってくる(テレビ用に撮られた、というのは勿論関係ない)。
そして何より「口笛を合図に互いの顔を知らない二人の男が落ち合う」って最高のアイデアだと思うし、映画の鍵を握る女の太腿にイチゴ形の痣があるなんてそれだけで凄くドキドキしてしまった。
綿密に計算された映画も好きだけれど、本作みたいに遊び心溢れる映画の方が好きだな。映画は戦場なのだから、窮屈にならず、キャラクターたちを好き放題に暴れさせておくれよと思う。