HAL8192

天空の城ラピュタのHAL8192のレビュー・感想・評価

天空の城ラピュタ(1986年製作の映画)
4.2
少年よ、運命の出会いに命を賭けろ!

スタジオジブリ発足の作品!
つまりは伝説の作品!

この物語以上の少年少女冒険活劇は日本映画史上存在しないと言って良いほどにクオリティが高い。あまりにもハイクオリティなこの物語はラピュタという伝説と同じレベルで、語られる伝説。

物語の初めから一気に観客を掴むストーリーテリング、どのキャラクターにも人間味を感じる演出、地下で鉱山を掘り進む人間にとって、空を飛ぶという夢のような根源的欲求等々全てが素晴らしい!!

色彩鮮やかに紡がれる物語は笑いあり、感動あり、で最高に冒険している。始まりが少年が空から落ちてくる女の子を受け止める所から幻想的であり、ロマンチックであるのに、そこに海賊、軍隊と追われる事になる活劇の後、地下で見せる宇宙の星々のような演出と天空の城という対比。

その後のストーリーもロボットの大迫力の戦闘シーン、少年の勇気ある決断、敵との一時休戦からの暖かい空気感、それからヒロインとの二人きりでの飛行シーンと最高に楽しいシーンの盛りだくさん。

そこから、語られる物語は主人公の父親の残した夢物語の真相と科学文明の衰退と自然主義の美しさを魅せる演出。全てが完璧に働いている。特に園芸用ロボットの一種の優しさは本当に素晴らしい演出。

敵役の悪逆非道の限りという主人公の対比構造が見事。ある意味完璧な悪役を演じ切っている。(ネットで彼の台詞が名言集になるほど、言葉遣いがユニーク)

そして、アニメならではの演出込みでの大迫力の破壊の言葉から生み出される演出の素晴らしさ!

ツイッターでの悪ふざけが異常に加速して悪名を轟かせているが、本当に見事な演出!(それでいて、上層部の崩壊は守られているから生態系は壊れてはいないという裏設定もあるのも魅力的)

子供が観て感動出来る仕掛けをしてなお、大人に子供騙しだとは絶対に思わせない作りになっているあたりが脚本の素晴らしさといったところか?

ラピュタの王族が文字と言葉によって、別れたのもなかなか良い歴史背景だし、ストーリーも王道でありながら、ここまで煮詰められるのは本当に歴史的偉業!

この後、主人公達がどうなったのかという事は観客に委ねられているが、個人的には13歳という年齢と二人が孤児だということから、他人の温もりを求め合うという結末だと嬉しいと思ってしまう。公式の見解では、なかなか想像を膨らませてくれる良い終わり方をしている……
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