ウサミ

天空の城ラピュタのウサミのレビュー・感想・評価

天空の城ラピュタ(1986年製作の映画)
4.8
絵で空を制した宮崎駿の最高傑作 少年と少女の美しき勇気の物語


2019/1/7、人生初鑑賞。
ラピュタ観たこと無いって言ったらやたらめったら驚かれて、まるで僕が日本人じゃないみたいな扱いを受けるんですが、たしかに、この映画を観てないのは勿体なかったなって思います。


この映画の世界観をあっという間に説明して、その上で好きにさせてしまう。

言葉よりも、デザインや画、音楽の力によってそれを行ってしまうのが本当に凄い。

とにかく、画面が楽しい、楽しい。
線路上の戦いとか、飛行艇のアングルとか。
なんかアンバランス感のあるというか、この辺がジブリセンスなのかなとか思うんですが、魅力的なマシンデザインも含めて、もうずーっと目が楽しい。


生まれてこのかた、風を感じながら大空を飛んだことなど、一度もありません。
しかし、この映画を思い出しただけで、帰りたくなる。大いなる興奮とともに駆け抜けたあの空に。
この感覚こそ、ジブリの魅力なのでしょう。

地球は回る 君を隠して
輝く瞳 煌めくともしび
地球は回る 君をのせて
いつかきっと出会う僕らを乗せて

あの歌のメロディ、歌詞を思い出すだけで込み上げてくるこの感情は一体なんだろう?懐かしさに似たあの感情。しかしもう手に入らないのかもしれない感情。失った何かを、思い起こさせる感情。

日本が誇る巨匠宮崎駿のマスターピースの一つとして幅広いから支持される本作。彼は、絵と音楽、そしてひとりの少年とひとりの少女によって、空を制してしてみせました。


中盤以降の圧倒的な盛り上がりから、映画のキーストーンである巨神兵の登場を機に、この映画はエンターテイメントにとどまらずら芸術的な奥深さを感じるシークエンスへと移行する。
殺し合うということの恐怖。そこに正義も悪もない。ただ、恐ろしいことが起きているだけ、というインパクトあるシーンは、脳裏に焼き付いて離れない。


そして、本作の主人公とも言える、雷雲の脅威を越えた先に鎮座する「ラピュタ」の姿を観た時、めちゃくちゃ込み上げて来て、そこからの静かな美しさには息を呑みました。


圧倒的な美しさと力と共に、ただそこに静かに在り続けた大自然の壮大さ。
ただただ静かに在り続けるという健気さと荘厳な姿に、絵だけで泣かされるという初めての経験をしました。

自然の力は、やがて人の真の姿をあぶり出します。

力に溺れるもの。
力に屈するもの。

そして、何をも超える美しい力を得るもの。

少年と少女が覚悟を決めて手を合わせるシーンは、なんとも美しく尊い。人間もまた、自然のように美しい力を秘めているのではないだろうか。

CGが全盛してもなお、名作として語り継がれ、そしていまも新鮮な感動を与え続けてくれるような本作の姿は、まるで天空の城 ラピュタの姿のようですね。


この映画の魅力を100パーセント語り切ることのできる日がいつかくれば良いな、と。そのために何度でも繰り返して観たい。

また次観た時新たな魅力を見つけれるだろう、と今から凄く楽しみです。
ウサミ

ウサミ