イチロヲ

帽子から飛び出した死/奇跡売りますのイチロヲのレビュー・感想・評価

3.5
ニューヨークの高級クラブで活躍する奇術師の男が、サタニストの降霊会で発生した密室殺人事件の真相を暴こうとする。クレイトン・ロースンの推理小説を映像化している、ミステリー映画。

根拠のないオカルトやスピリチュアルを利用した詐欺行為に敵意を抱いている、頭脳明晰な奇術師が探偵の代わりに立ち回っていく作風。当時、欧米に広がっていたオカルトブームを題材にしており、小説版は同一主人公でシリーズ化されている。

物語内容は、主人公が心霊協会と接点をもつ訳ありのヒロインを守護しながら、ホテルに出入りしている奇術師、霊媒師たちに真犯人の嫌疑を掛けていくというもの。懐疑派の主人公が、守銭奴の心霊協会や悪魔崇拝者に肉薄する構図が面白い。

やっていることはスタンダードな犯人捜しなので、トッド・ブラウニング監督の奇抜な映画術は薄口だが、当時の霊媒ブームを背景にしたドラマには興味が掻き立てられる。
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