翔海

20センチュリー・ウーマンの翔海のレビュー・感想・評価

20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)
4.1
子供は親の知らないところで成長している。

1979年、カルフォルニア州サンタバーバラ。15歳の息子ジェイミーとシングルマザーのドロシーが住む一軒家には下宿する写真家のアビーも住んでいる。ジェイミーの幼なじみのジュリーとドロシーの頼みを聞いてくれるウィリアムはドロシーの家でよく集まる。思春期の子供を抱える親は悩みが尽きない。思春期のジェイミーも友達と危険な遊びや親に心配させることもある。自分一人では見守ることはできないと思ったドロシーはアビーとジュリーに息子を気にかけて欲しいと頼む。そんな母の優しさすら鬱陶しい年頃のジェイミーだったがアビーやジュリーと過ごす中で二人にも抱える悩みがあることを知る。思春期で自暴自棄なジェイミーだったが二人とともに過ごすなかで彼は大人に成長していく。

純粋なまま成長してもらいたい。
シングルマザーで息子のことが心配なドロシーと息子ジェイミー。二人だけだったら衝突だらけで関係は保てないけれど、幼なじみのジュリーや同居人のアビー、ウィリアムが居てくれて家族のように支えることが出来ていた。彼らもそれぞれに悩みを抱えて生きている。ジェイミーは大人たちの悩みにも寄り添うことが出来る優しい少年。それを知ってる母ドロシーは余計に心配になっていたのかもしれない。親子間で言いたいことを言い合える家族ほど信頼関係が築けている親子は少ないと思う。どこか恥ずかしさやプライドが邪魔をして言いたいことが言えなかったり、会話が減ったりするのが思春期だと思う。それでもちゃんと子供と向き合っているドロシーはしっかり母の役割を果たしている。

特徴的な女性たち。
破天荒でパンクに生きるグレタ・ガーウィグ、親への反発から煙草を吸ったり自由に生きようとするエルファニング。それぞれ個性の強い役でありながらも弱さも兼ね備えている。二人とも好きな女優であり、二人の共演する私にとってはとても贅沢な作品である。内容は少年が成長する過程に女性の抱える問題に触れたり、興味を示して本から学んだりして大人になってゆくストーリー。物語に大きな変化はないけれど、進んでゆくなかで変わる心情だったり少年の成長してゆく姿を楽しむことができる。私はこうゆう日常的な内容だけど考えさせられる映画は好きである。
翔海

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