Maoryu002

20センチュリー・ウーマンのMaoryu002のレビュー・感想・評価

20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)
4.1
1979年、サンタバーバラで暮らすドロシア(アネット・ベニング)は15歳の息子ジェイミー(ルーカス・ジェイド・ズマン)との関係に悩み、下宿人の写真家アビー(グレタ・ガーウィグ)とジェイミーの幼馴染ジュリー(エル・ファニング)に助けを求める。同じく同居しているウィリアム(ビリー・クラダップ )を交え、それぞれがぶつかり合い、支え合いながら、生きる道を模索する。

20世紀に生きた、ちょっと変わってるけど身近に居そうな女性たちの物語。それを15歳の少年の視点で見せるところが新鮮で面白かった。
説明調なセリフとナレーションが多すぎる気もしたけど。

ドロシアは優秀で何でもできるけど、それは寂しさの裏返しのバイタリティで、息子も家も支配することで精神を保っていることがしだいに見えてくる。
社会的に優秀なドロシアらしいんだけど、ジェイミーの “幸せなの?” という問いかけを拒否したように、必ず優位に立って決して手の内は見せないのだ。

この難しい人間を演じたのは、かつて「グリフターズ/詐欺師たち」や「バグジー」で知的な美しさを見せたアネット・ベニング。年取って「キッズ・オールライト」あたりからの演技がすごく好きだ。

そして、下宿人一人一人の歩みと背景がしっかり結びついて、母子の女性論や恋愛観を刺激するようにできている。
もはや監督の印象が強いけど、グレタ・ガーウィグ演じたアビーの陰陽のインパクトも大きかった。
地味だけど、「あの頃ペニー・レインと」「君が生きた証」「スポットライト 世紀のスクープ」といい映画に出続けてるビリー・クラダップも良かったなー。

5人が入り乱れる家で、ジェイミーとジュリーがいるベッドにアビーが入ってきて話す場面が特に好きだった。あの微妙な距離感!

結局、ドロシアは彼女の生き方を貫いたんだろう。最良ではなかったかもしれないけど、その生き方を誰も否定はできない。
5人がいたわりの心と信頼関係を持って、それぞれの人生を築き上げるという、あの家の空間がとても貴重に感じた。
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