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20センチュリー・ウーマンのalmosteverydayのレビュー・感想・評価

20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)
4.0
「人生はビギナーズ」で老いた父親と息子を描いたマイク・ミルズが今度は母親と思春期の息子を、という触れ込みだけで既に前のめりになってました。この、まだまだおぼこい15歳がいずれ歳を重ねてあのときのユアンに成長するのか…!と思うとただそれだけでぐっときてしまいますが、そういうことはあまり深く考えず目の前のスクリーンに集中しようと努めました。いやあ、よかった。とてもよかった…。

母親だけでも息子だけでもない、周囲も含めた主要キャスト全員の視点で物語が進んでいくので、思春期のままならなさも大人の困惑も若者の向こう見ずっぷりもすべて主観として描かれるんですね。で、そのどれもが許されているというか、見守られているんですね。理解し合うことはできなくても、それを頭ごなしに否定したりしないんですね。そのしなやかさと器のデカさと、それからもひとつ己のダメさを取り繕わない潔さが見ていてとても心地よかったです。こんな大人に育てられたかったし、こんな大人になりたいよわたしは。はー、すてきだ。

物語の舞台は79年、車も音楽もファッションもすべて当時のモードのはずなんだけど、全編通して眩しい夏の光に包まれた映像のためか極めて現代的に見えるのが不思議でした。劇中の音楽とリンクするTシャツ(トーキング・ヘッズやDEVO等)がちょこちょこ出てくるのも楽しい。同じ服をくり返し着たり登場人物どうしでシェアしたりしてるのもすてき。エル・ファニングかわいい。真っ赤な髪のグレタ・ガーウィグはアシメの鬼太郎ヘアがまるでシャスティーン・フリシュマンのよう。クールでセクシーで尖っててきれい。そして何よりアネット・ベニングの素晴らしさよ。糸目になっちゃうほどのビッグスマイルも余裕しゃくしゃくの飄々としたたたずまいもよかった…。
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