ぴのした

20センチュリー・ウーマンのぴのしたのレビュー・感想・評価

20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)
4.0
最高だった。ミルズ監督の前作『人生はビギナーズ』に続き、美しい映像の中でクセのある5人の人々の関係を描く。

思春期の息子ジェイミーと高齢の母の親子の家に集まるのは、息子の幼馴染ジュリー、間借り人の写真家アビー、「父親役」のウィリアムの3人。ジェイミーを巡って繰り広げられる、家族のような、友人のような、恋人のようなデコボコの5人の物語。

これは家族を描いた映画なんだけど、『リトルミスサンシャイン』とドランの『マイ・マザー』の中間にあたる作品だと思う。『リトルミスサンシャイン』のようなちょっとビターなファミリーコメディの空気感の中に、『マイ・マザー』のような、愛し合っているがうまくいかない母子の関係性や、引き込まれる色彩や構図が印象的。

ただ、それにも増してこの映画が面白いのは、それぞれの登場人物のこれまでの背景だったり、その人のその人独自の「哲学」がすごく丁寧に描かれているところだと思う。特にアビーのフェミニズム的な考え方とか、ジュリーのセックスと友情についての考えとか、ジェイミーを取り巻くお姉さんたちの生き様や考え方が思春期のジェイミーを支えている気がした。

名言が多くてはぁなるほどなあと思わされるシーンが多かった。特にお母さんの「男は解決に躍起になるか、何もしない。ただ寄り添うということが苦手なの」になるほど〜〜ってなった。

ビギナーズと同じく、登場人物の過去の紹介の仕方とか、時代背景の説明とかで細々としたイメージをパッと出す手法はこの映画でも健在。オシャレで好き。

この70年代終わり頃のパンク文化だったりフェミニズムだったりっていう時代の空気感もすごく感じられる作品だった。全体的に過去を振り返るような形になっているのもあってか、すごく郷愁をそそられる(まだ生まれてないけど)。

あとジュリー役のエル・ファニングかわいすぎん????この透明感というか存在感というか、目が釘付けになる可愛さ。どここで見たことあるなと思ったら『somewhere』でwiiスポーツやってたあの女の子なんだね。。確かにあの時もべらぼうに可愛かった気がする…。『パーティで女の子に話しかけるには』も見なきゃ。

ビギナーズを見て「これは…!」と思った人は今作も見て絶対に後悔しないと思う。見てください。