えいがドゥロヴァウ

20センチュリー・ウーマンのえいがドゥロヴァウのレビュー・感想・評価

20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)
4.3
Men always feel like they have to fix things for women, whether they're not doing anything.
But something's just can't be fixed.
Just be there.
Somehow it's hard for all of you.
"男はいつも問題を解決しようとするか何もしないかのどちらか
本当はただ寄り添うだけでいいのに
それが下手くそなのよね"

うんうんと頷いてしまう反面
これは男全般に対してだけではなく
この言葉を発した母ドロシー自身にも当てはまって
その自己矛盾に人間くさい愛おしさを感じずにいられません

「ただ寄り添うだけ」ということの難しさ
ただ寄り添うだけで十分なのに
愛するが故に干渉せずにはいられない
そして不干渉もまた、それはそれで誤解を生んでしまったり…
シングルマザーとその息子を軸に
人物らの会話を通じて心の機微を繊細に描き出す本作

マイク・ミルズの前作『人生はビギナーズ』を観たときに
冒頭5分で自分にとって大切な作品になると確信したのですが
本作もやはり同様でした

思いやりがすれ違って
色んな感情が凝り固まって硬直した関係性が
何気ないシンプルな言葉によって氷解する瞬間
そのタイミングさえいつやってくるのかなんて分からなくて
だから人はひたすら相手と向き合い寄り添う努力をするのかなって
それには忍耐も必要だし、発散も必要で
その匙加減だとか、何をもって愛と呼べるのかなんて明確な定義もないままに
親子関係は常に現在進行形
自分の子どもを1人の人間として認めようとしつつ
自分が養っている存在として守る義務も一方であって
「もーほんとややこしいよね、でもかけがえのないものだよね」と語る本作は
アンビバレントな感情に揺れる親子とその周囲の関係性を瑞々しく描き
感性と愛に溢れています
グザヴィエ・ドランの『Mommy』とともに
僕の心の中の「愛すべきマザコン映画」フォルダに保存させていただきます

ちなみに僕はトーキングヘッズが大好きだからart fag("アートかぶれの軟弱野郎")の一員なのだろうけれど
ブラックフラッグスも嫌いじゃない
それもアリでしょう?