歩くチブ

夏至物語の歩くチブのレビュー・感想・評価

夏至物語(1992年製作の映画)
3.7
岩井俊二初期作品集#3

夏至物語の白石美樹は、山本直樹や町田ひらくの漫画に出てきそうな無防備でつかみどころのない女の子だ。少女でもあり大人の女性でもある。色気と透明感を兼ね備えていて、どこか儚くて神秘的で残酷で痛い。

彼女の語り、どじょうを掴む音、きゅうりやそうめんの咀嚼音、新聞の事件の切り抜き、夏のじめじめした空気と汗ばんだ肌、セミの鳴き声、口ずさむ松任谷由実、たらいから溢れる水、いろんなものが混じりあって美しいのか気持ち悪いのか解らない。最後の上田晋也でそのバランスが見事に崩れたのは確かだ。

岩井俊二は女の子を撮るのが上手いなぁ。ここから「undo」「打ち上げ花火~」「picnic」に繋がっていくのは納得。
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