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レディ・バードのRのレビュー・感想・評価

レディ・バード(2017年製作の映画)
3.9
ものすごく感動してボロ泣きしたという感想を聞いていたためこのたびワクワクしながら見始めました。主人公はカリフォルニアのサクラメントにあるカトリック系の高校に通う女子高生。自分自身をレディーバードと呼び、周りの友達のみならず先生や親にもそのあだ名で呼ばせようとする3年生。大学は閉塞的な地元を離れ、文化的な東海岸でもっと自由な生活を送りたい! だが、決して裕福でない家族なので、そんなお金はだせない!と母親は猛反対。やがて父は職を失い、ますます家計は大変に。それでも奨学金やら補助金やらを使ってどうしてもサクラメントを出て行きたい。そんな彼女の高校最後の1年間をテンポよくコミカルに描いた作品。前半では親友ジュリーと学内ミュージカルのオーディションに受かり、出演者のひとり、爽やか系シャイボーイに一目惚れ。初恋をし、初BFをもち、初キスをし、お互い家族にも紹介し合って、とんとん拍子でうまく行っているように思えたが、彼氏がまさかのとんでもないことしてるのを偶然見てしまい、ハートブレイク……まぁ、いまの時代にはあるあるですね。と同時に、家庭が抱えるさまざまな問題、たとえば兄が大卒にもかかわらず地元のしがないスーパーで働いてたり、ちょっとおかしな兄の彼女が家族と一緒に暮らしてたり、母親はつねにレディーバードにああしろこうしろあれはするなこれはするなお金はないお金がないとガミガミ言われて喧嘩になったり、そんなこんなでヘソを曲げてしまったレディーバードは、ある日、感謝祭でバンド演奏をしている美形男子校生に目をつけ、たまたまバイト先でその彼を見つけて、近づいていく……という流れのロマンティックコメディとしてのお話はいたって普通、初彼氏の彼が泣いてたシーンも、まぁ最近ではよく見かけるテーマであるし、特に何ということもないんやけど、実はその他のサイドストーリーがすごく良かった! まずは親友のジュリー。ぽっちゃりした子で数学の先生にお熱やねんけど、数学の成績がいいので、先生に褒めてもらってて、ぽ〜〜〜☺️ってなってる。だがその後、破壊的な現実を見せられてドーーーンとダウナーに入ってるの面白かったし、レディーバードとの関係の展開も、ずっと仲良しで行くのかと思いきや、結構意外な方向に向かいます。なーんかこんなことむかし自分にもあったなーーーとついついいろいろ思い出したりしながら見てました。母親との関係も面白い。ていうか、最終的には、母親との関係がストーリーのメインに変わっていくんす。母と娘、仲が良いときもあるけど、女同士やから関係の難しさがあり、また、ぜんぜん立場の違った父親との関係もあり、年頃の女の子のいろいろと複雑な内面を、ポップだが繊細に描き出していく。まさにいま彼女みたいな立場にいる人もたくさんいるだろうし、昔の思い出を掻き立てられる人もいるたくさんだろう。最後、僕はお母さんの立場で見てしまって、涙こぼれたわ。愛する人を、たとえそれが希望に満ちた旅立ちであっても、送り出すときの喪失感ってほんまにデカい。ツラい。イタい。僕も最近久しぶりにその打撃を食らったばかりやからマジで胸がえぐられた。とはいえ、ぜんたいとしてはコミカルでハイテンポでエンターテイニング、フラストレーションとクラッシュに彩られた青春そのもの。生理中の私のバギナのアップの写真を撮ったら悲惨だけど、生理は道義的に間違ってはいないわ、あと、あなたが生まれてなかったらあたしたちもこのくだらない会合に出る必要もなかったわ、のシーン🤣 ほんまワロた。そして、レイディーバードからの卒業、Thank you…Thank you. ほんまに感謝でいっぱいです。サンキュー。
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