木葉

レディ・バードの木葉のレビュー・感想・評価

レディ・バード(2017年製作の映画)
4.0
名作ではないけれども、何度も観たくなる、心が軽くなり、懐かしく温かな余韻が脳内を反芻し続ける。
悩みに振り回された若い頃が羨ましくなる、瑞々しい感性で切り取った映画だ。
自意識過剰で、見栄っ張りで、田舎に生まれたことをコンプレックスに持ち、都会に憧れ、自分を特別な存在だと思い込む、誰しも経験するような10代の痛い女の子をシアーシャローナンが等身大で演じている。
脇を固める君の名前で僕を呼んでのティモシーシャラメや、マンチェスターバイザシーのルーカスヘッジスは豪華過ぎるし、何より、これは母娘の不器用な愛の映画であるのだ。
大好き過ぎて近過ぎるあまりに衝突し合う母と娘。娘は自らのことをレディバードと名乗り、自分が生まれ育ったサクラメントが大嫌いで、奨学金を受け都会の大学に行こうとする。困った時は親に頼る癖に、一人で何でも出来ると言わんばかりに、周りが見えずにひたすら自分の思い通りに進めようとする姿が痛過ぎるけど愛おしい。母に正直に思いをぶつけ、初体験がこんなはずじゃなかったと悔やむ姿、都会に初めて一人出て故郷を思い出す表情は、心が打たれ、涙がポロポロ出てきてしまった。
無償の愛ほど、有り難く大きいものはないと、親元を遠く離れたからこそ、本当にかけがえのない存在が分かる。
大人になっていくって痛みと輝きを同時に得ていくものなんだと、懐かしさや温もり初心を思い出させてくれる映画だ。
木葉

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