マヒロ

レディ・バードのマヒロのレビュー・感想・評価

レディ・バード(2017年製作の映画)
4.0
田舎町のカトリック系高校に通いながら、都会の大学への進学を夢見る女子高生の自称"レディバード”(シアーシャ・ローナン)の、最後の高校生活1年間を描いた作品。

監督のグレタ・ガーウィグは、ノア・バームバックの『フランシス・ハ』で不器用を絵にかいたようなちょっと周りとズレた主人公を自ら演じていたけど、今作の主人公であるレディバードは同じように不器用でありつつも、年齢による行動の差が如実に表れているのが面白かった。
フランシスは中年に差し掛かった女性で、失敗するごとにガックリしつつもしばらく経ったらケロッとしているようなふてぶてしさがあったんだけど、レディバードはとにかく自分が正しいと言わんばかりに周りに攻撃しまくるド直球な思春期学生で、それを大人しそうなシアーシャ・ローナンがやっているっていうのも、逆にリアリティあった。

今作と『フランシス・ハ』の2作が好きなのは、登場人物全員が飾られていないというか、変に綺麗に見せようとも面白おかしく見せようともしていない「素」のまま描かれているからで、性別や国の違いを感じさせない共感性がある。自分ならできるという根拠のない自身とそれを分かってくれない周囲への苛立ちや、家族と離れて暮らすようになることへの不安と希望が入り混じったモヤモヤした気持ちなんかは、自分に置き換えてみても十分身に覚えがある。チャラチャラしてそうで割としっかり者の同級生や、ミステリアスな魅力を持った男かと思ったら結構しょうもなかったり、他の人々も多面的に描かれているのも良かった。

監督デビュー作であるこの1本でいきなり素晴らしい作品を作り上げてきたグレタ・ガーウィグ、今後追いかけていきたい監督の一人になったな。


(2018.49)[17]
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