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レディ・バードのmaverickのレビュー・感想・評価

レディ・バード(2017年製作の映画)
4.8
主演はシアーシャ・ローナン。撮影当時22~23歳の彼女が、どこにでもいそうな高校生を好演。主人公レディバードは少し変わってはいるものの、容姿や成績が際立っているわけでもない田舎の平凡な高校生。母親とは事あるごとに喧嘩をする思春期真っ盛りな女の子だ。舞台は現代のアメリカとはいえ、描かれているのは日本とさほど変わらない話。同年代の女の子はもちろん、彼女の親と同じ世代の大人や、思春期を学生として過ごした老若男女全ての人に共感を得られる作品であると思う。反抗期で常に対立する娘は、母親からして見れば問題を抱えた子供である。でもそんな彼女には当たり前だが彼女の世界があり、何気なく過ごしている高校生活も人生においてはかけがえのない青春の1ページ。そして親にも親の世界があり、子供からは親の愛情や苦労なんてものは気付けもしない。本作を観て感じたのは、自分も学生の時こうだったなという気持ちと、あの時親の気持ちなんて理解しようともしなかったなという気持ち。主人公は不器用だが、母親もまた不器用で、それによって対立する姿が凄くよく分かる。親に愛されてないと思う主人公の気持ちと、こんなに愛しているのに何故分かってくれないのという親の気持ち。主人公レディバードという1人の女の子を通して、人生においてこの時期にしか感じえないものが本作には表現されている。コメディタッチでテンポよく進んでゆく楽しい作品だが、琴線に触れて思わず涙が出そうになるシーンがいくつもつまっている。公開時から絶賛されていた作品で本当に素晴らしかった。自分では平凡だと思っていた青春時代も、改めて思い返すと宝物だなと思える。みんなそれぞれ青春があり、それを大事に、宝物にして良いんだと思う。それに気付かせてくれる素敵な作品でした。
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