KHinoji

レディ・バードのKHinojiのレビュー・感想・評価

レディ・バード(2017年製作の映画)
3.8
この手の青春映画は、私はどちらかというと興味なくて敬遠してましたが、評判は良さそうなので気になってレンタルBDにて鑑賞です。

タイトルの「レディ・バード」は、主人公の女の子が自から名乗っている愛称です。親が付けた本名に反発しているわけで、“レディ・バード”とは主人公の長い長い反抗期の象徴なわけです。
レディは早く大人の女になりたい、バードは鳥のように自由になりたいって意味でしょうか。

母親は娘を愛しているあまり、厳しくしつけてしまい口うるさい母親に。決して裕福な家庭ではないため、娘にせめて良い人間に育って欲しいと言う考え。が、結果、娘は母親から愛されていないと感じてしまい反抗ばかりになってしまう。
母親に対する反抗心の反動か、父親とはむしろ仲が良い環境。でもこの父親、リストラになってしまうようなダメ人間でもある。なので母親も忙しく働いているわけで、さらに母親と娘の関係は悪化していくという悪循環な家庭環境。将に青春ドラマ用の設定ですね。

この母娘の関係はどうなっていくのか、主人公は“レディ・バード”という子供時代の名前から卒業できるのか? さて…

また、米カリフォルニア州のサクラメントが舞台になっていて、同じカリフォルニアの大都会のサンフランシスコと、サクラメントの田舎町との対比もほど良く、現実的で旨い舞台設定と言えましょう。
ちなみに、サクラメント市は、日本の愛媛県・松山市と昔から姉妹都市となっています。サクラメント市は日本のイメージで言えば、松山市みたいなところだと思えばいいかもしれません(本当かよ?)。
住むには良いけど、必ずしも都会ではないわけで…

子供時代の反抗期が題材となっているわけで、誰にも経験があるだろう親しみ深いテーマとなっています。それを、しっかりした脚本と演出で次々に起こる青春エピソードで展開していきます。
私はこの手のお話にそれ程興味は無いのですが、それでも十分に面白く見ることが出来ました。映画としての完成度は高いと思います。

・親友の女の子との関係性
・目を付けた男の子とのいくつかの恋話と失恋
・学校の演劇活動への参加
・上述もしましたが、母親・父親などの関係とか微妙な家庭環境
・感動的だけどやり過ぎずフェアなラストシーン
など、巧みなストーリーだと感じました。
主演女優も、本作ははまり役だったと思います。

評判通りの良い映画だと思います。

なお、監督は女性で、もともと脚本だけのつもりで書いていたのだけど、自ら監督して完全に自分の映画作品にしたくなってしまい、監督もやってしまったそうです(監督自身、サクラメントの出身みたいですね)。
レンタルBDにも少しメーキングなど入ってます。

(2018/11 レンタルBDにて、字幕版で)
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