痛い系女子物語。
「フランシス・ハ」でヒロインを演じたグレタ・ガーウィグの監督デビュー作。そしてあの作品のヒロインの過去のようにも見える。
シアーシャ・ローナンが恐らく完璧にグレタ・ガーウィグに成りきっている。それ位に役柄を理解しているのが伝わる。
凄い好評価なので、どんな名作かと思いきや、ナード系女子の目線をひた走るので驚いた。男子なら「アメリカンパイ」みたいな雰囲気になりそうだが、女子なら瑞々しく感じる。
最後の最後に、レディバードがクリスティンになってサクラメントを想う時に、襲ってきた感情の波に飲まれ名作だと認めざるを得なくなった。
そこには、自分の痛々しい18歳の思い出だけでなく、当時の両親の気持ちを理解し、そして今はまだ赤ちゃんである自分の娘への思い、そのトリプルが襲ってきた。
人生を積み重ねた時にしか見えない景色がそこにあった。
いつか娘が家を出る時に、そっと手紙をしたためられる父親になりたいと思う。
この胸に去来する気持ちを18年後に実際に味わう覚悟はまだない。