せーじ

レディ・バードのせーじのレビュー・感想・評価

レディ・バード(2017年製作の映画)
4.0
137本目。フォロワーさんたちの間で好評だったのだけど、見逃していた本作。この機会にレンタルして鑑賞。

正直なところ「これは、観る作品を間違えちゃったかな…」と思ってしまい、一度は途中で鑑賞を中断。でも後から物語の行方が気になってしまい、何度か中断を繰り返しながら最後まで鑑賞をすることに。
何故そうなったかというと、この作品はそれこそ"21世紀の女の子"が主人公だと思うのだが、主人公の考え方というか行動原理が"20世紀のおっさん"である自分とは、あまりにもかけ離れているので(当たり前だ)、観ていて居心地の悪い気持ちになってしまったからだと思う。何お前、年端もいかない女の子に感情移入しようとしてんのキモーいみたいな。
ただ、そのあたりはこの作品は上手く出来ていて、主人公が「そんなやつおらんやろ~」っていうくらいのブッ飛んだ子であるという前提があるので、そこでなんとか客観的な観方をして突き放すことが出来た気がする。…もしもこれで彼女が、例えば「ワンダー 君は太陽」のお姉ちゃんのように、すごくマジメで立派な女の子だったとしたら…想像しただけで身の毛がよだつ。

この作品に限らず「母親と娘の確執」は、昔から描かれてきた題材であると思うし、「虐待」や「毒親」問題などとも繋がる、今日的な家庭問題であるとも思う。この作品はそこまで重々しく彼女たちの対立を描いていないけれども、時折覗かせる娘を「女」として見ているかのような母親の視点と言動は、観ていてちょっとヒリヒリした。この二人、そもそも冒頭のシーケンスが示す通り、好みや嗜好はかなり近い似たもの母娘なのに、二人ともそのことにあまり自覚的ではない(しかし周囲はそのことをよく理解している)ところが、なんともリアルな関係性だなと感じる。
ただ主人公であるレディ・バードは、あっさり友達をポイ捨てしようとするし、すぐにしょうもない男に引っかかるしで(でもゲイの彼を優しく慰める場面はよかった)「何者でもないかもしれない自分」であることから逃れようと次々とイタい言動をコミカルに繰り広げるのだけれども、そこは不思議と作品全体として違和感は感じなかった。おそらくそれは、きちんと劇中で彼女が報いを受けており、母娘の確執の場面とのバランスがそこで巧みにとられているからだろうと思う。

なので、後半からはラストシーンまでするすると観ることができたし、最終的に「何者でもないかもしれないと思っていた"自分"が"誰の娘"であるのかを見出す」結末は、控えめでいい子ぶってるオチなのかもしれないけれど、悪くはない話運びだったと思う。そうやって省みて反省することができるのも「若さ」だよな、だったらよかったじゃん、と「20世紀のおっさん」としては思わずにはいられない。

とはいえ、本作の下ネタやブラックジョークは、エロいを通り越してグロいレベルのモノなので、おすすめできる層はある程度限られてしまいそうです。もちろんそれだけではなく、一人の少女の「巣立ち」を丁寧に描いているから、この作品は愛されているのでしょうけれども。