タケオ

レディ・バードのタケオのレビュー・感想・評価

レディ・バード(2017年製作の映画)
4.0
大都会ニューヨークへの大学進学を夢見るクリスティン(自称:レディバード)の高校生活最後の1年間をユーモラスに描いた本作は、新世代の青春映画の中でも突出した輝きを放つ紛うことなき大傑作だ。

本作で監督.脚本を務めたグレタ•ガーウィグが自らの青春時代をモチーフに1年をかけて執筆した脚本は、なんと当初は350ページを超えるトンデモない代物だった(1ページ1分換算=約6時間)。

流石にそんな大長編にはできないということで、膨大な情報やドラマを最終的には94分にまで圧縮したのだが、それ故に極限までブラッシュアップされた脚本は、濃密かつテンポの良い格別なものとなった。

また、そのおかげで各キャラクターのバックボーンも非常に明確となり、実力派俳優陣の繊細な演技とも相まって、作中では語り尽くせないような各々の苦脳や葛藤も、しっかりと鑑賞者に感じさせてくれる。

ヤサグレ気味のパンク娘の痛々しい青春譚を、毒っ気の効いた笑いやウィットに富んだ会話劇で盛り上げながらも、母と子の軋轢や、田舎の閉鎖感や貧困といった問題をしっかり捉えているのも実に見事だ。

儘ならない現実にもがき苦しみながらも、未来へ羽ばたこうとする見栄っ張りなレディバード(テントウムシ)と、彼女の身を誰よりも案じながらも、うまく接することのできない不器用な母の姿には、思わず涙を覚えてしまう•••。

なんてことはない。
ひたすらに優れているだけの、実にシンプルな'親子の愛'を描いた作品だ。