優しいアロエ

レディ・バードの優しいアロエのレビュー・感想・評価

レディ・バード(2017年製作の映画)
3.8
 家族に恋愛、友情、進路。高校生を描けば必然的に扱うことになるだろうテーマをイマドキの若者に媚びることなく爽やかに映す。高校生の会話や部屋での振る舞いのリアルな再現が微笑ましく、それをシアーシャ・ローナンや親友役の女優たちが伸び伸びと演じている。

トイレでダニーを見つけてしまうところなどやや強引な展開もあったが、全体的にはやり過ぎなシーンは抑えめで、ドラマとコメディのバランスを上手くとってくれていた。

何より、思っていた以上に本作は将来像に苦しむ子どもとその親を真摯に描いており、特に終盤のまとめ方は素晴らしいものだと感じた。
自我の強い母親と優しい父親という対照的な両親。仕事がある・ないの違いからも母親に主導権があるのは納得で、母娘のやりとりがメインになっていく後半はより見応えがあったし、2人の関係がドライブを通して描かれるというのも新鮮。

主人公が高校生ながら「レディ・バード」と自称するのは、自由に羽ばたきたいという意味以前に、(親に与えられた名を使わないという)束縛する親への反発心の象徴だと受け取った。(実際は監督・脚本のグレタ・ガーウィグがマザーグースから思いついたもの)

青春もの×コメディというあまり好きではないジャンルの掛け合わせだったが、質の良いものを観た感じがして満足。日常を鋭く捉えてくれるだけで価値があったし、笑えるところも多かった。
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