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レディ・バードのRIOのレビュー・感想・評価

レディ・バード(2017年製作の映画)
3.8
2002年、カリフォルニア州サクラメントのカトリック系高校で大学進学を控えるクリスティンは、自身を"レディ・バード"と名乗る多感な少女。NYの大学へ進学する事を反対する母との不和、リストラの危機に瀕するうつ状態の父親、大卒ながらフリーターの養子である兄からなる家族の中で毎日を過ごしていたが…。

ちょっぴり痛い、尖ったアメリカ人少女の青春。
自分を別名で名乗り色々な憧れを妄想する彼女は見た目も相まってか、私も大好きな「赤毛のアン」のアン・シャーリーを彷彿とさせられましたが、ちょっと想像していた感じと違って腑に落ちるのが難しいのは否めず…。もう少しポップな話かと思っていた分、母親との一筋縄ではいかない愛憎や友人・恋人との不安定な関係などが瑞々しく、そしてどこか痛々しく描かれていて余計に印象に残りました。
時代設定も2002年〜ということでひと昔、前年に起こった同時多発テロや当時の戦争の話題も横断し、アメリカンスタイルの高校生活、田舎のカトリック系高校の厳格な雰囲気やキリスト教の雰囲気からも、
彼女のパーソナルな物語であることがかなり強調されていたように思えます。

お世辞にも自分とは似た境遇とは言えず共感性には欠けてしまいましたが、レディ・バードと家族、恋人、友人等周囲の人々との人間関係はかなり感情輸入出来て、大きな見どころに感じました。
個人的には特に、当初からの親友であるジュリーとの関係が良かったな。プロムのシーンは思わずホロリときてしまうほど。

しかし、共感できる内容であってもなくても、青春映画等において一人の思春期の一部始終を目撃してしまうと、自分のことのように胸がヒリヒリしてしまうのは何故でしょう。
時々この感覚を味わいたくて、青春映画を観てしまう時もある気がします。もっと大人になってもこの感じ方は無くならないものなのでしょうか。
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