さすらいの旅人

レディ・バードのさすらいの旅人のレビュー・感想・評価

レディ・バード(2017年製作の映画)
3.8
レディーバードの苦悩から成長への物語。WOWOW過去録画視聴。

全米4館上映からスタートの低予算インディーズ作品。
しかし、全米が感動し、アカデミー賞候補にもなった良作。

レディーバードとは本名ではない。言わば親や社会に反抗する意味での俗称で使っている。
彼女はサクラメントのカトリック教色が強い田舎町で生活している。母親といつも口喧嘩をし、確執を持っている。また、問題を抱えている父親や兄弟もいる。そして、何とか町から出たい希望を強く持っている女子高生。

映画の中では家庭、学校、友達で色々な問題を起こしながらも、自由奔放な生活を繰り返している。
この女性像は自立心が高く、何も恐れず突き進むタイプとして描かれている。監督と脚本はグレタ・セレスト・ガーウィグで女性である。この物語は女性目線で描かれており、監督は人間描写に非常に優れた監督と私は思う。

日本で言えばこの反抗期の女性が、最後には親に対する尊敬と感謝の念を、あることをきっかけに抱き、再生して成長の道を歩む。その後、レディーバードの名前を捨て、親が付けてくれた本名を名乗るようになる。そして、親だけでなく街そのものにも育ててくれた感謝を示す。

この映画には映画的大事件は起こらない。アメリカの日常生活がリアルに、しかも繊細に淡々と描かれる。カトリック教あるあるシーンは多く、面白く興味深く見た。

本作は上映時間も94分と短く、テンポが良く、アメリカンウィットにも富んでいるので見やすい良作です。