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シンデレラ 前編のノッチのレビュー・感想・評価

シンデレラ 前編(2011年製作の映画)
4.0
ピアニストを夢見る少女オーロラは、音楽家の父と裕福な生活を送っていた。

しかし、父の急死により、オーロラの生活は一変する。 

悲嘆に暮れるオーロラに追い打ちをかけるように、継母と義姉の嫌がらせが始まる。

それでも、いつか夢が叶うと信じ希望を失うことはなかった。

永遠のラブ・ストーリー『シンデレラ』の、もうひとつの物語。 

まず、これはディズニーの『シンデレラ』ではありません。

この作品には王子さまは出て来ません。

もちろん魔女も出て来ません。

だからカボチャの馬車もガラスの靴もありません。

ヒロインの名前もシンデレラではなくオーロラです。

でも、ストーリーは間違いなく『シンデレラ』。

『シンデレラ』の基本は守りながらも世界観を現実世界に置き換えるという新鮮さがあり、かなり楽しめました。

ヴァネッサ・ヘスラー演じるシンデレラ(オーロラ)が、切ない恋心を抱く様子は、見る者の昔のあの気持ちを思い出させる作品となっていました。

ピュアで美しく、よく練られた構成と、リアルな感情の自然な映像美に、脚本家と監督の力量のすごさがわかります。

なんと言っても、魔女をこんな役柄に変更したのは素晴らしい脚本の妙と言わざるを得ない。

馬車も靴もなるほど。

そしてローマの町並みをはじめとする風景・調度類。

豪華絢爛な衣装、メイド服。

とにかく素晴らしい。

素人目から見て、何処にお金をかけていたのか分かりづらい所ですが、総製作費は10億円だそうです。

「父に溺愛されていたシンデレラが、父の急死を契機に身分が逆転、継母と義姉たちに苛められる」というベースは変わらないけれども、オーロラが明るく強いヒロインなので悲壮感はそこまでない。

オーロラの、本当の自分で勝負したいという気持ちにとても心揺さぶられました。

そして、オーロラがピアニスト志望という設定なので、クラシックが聴けるのも嬉しい。

俳優も皆、個性的ですし丁寧に作られています。

敵役、継母役の女性が娘2人をひきつれて、見事な悪人ぶりを示します。

そしてオーロラが美しい。

表情が豊かで、演技力と姿形の美しさが基礎としてあります。

童話の主人公にふさわしく品がよく可愛いのです。

幼少時代の役(この娘も可愛い)から大人時代の役に変わっても全く違和感なく、どちらも魅力的です。

バックミュージックも彼女にぴったりの演出になっていますので、心を動かされました。

しかしめっちゃ良いところで前編が終わるのは、正直やられました。

こんなん後編観るしかないじゃないか😡⚡
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