回想シーンでご飯3杯いける

ベテランの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

ベテラン(2015年製作の映画)
3.9
ああ、韓国映画の全部乗せエンターテインメント精神は、やはり素晴らしい。

パケ写は正直言ってダサめだし、主人公の武闘派ベテラン刑事を始めとする捜査隊のチンピラ風の日常を描いた序盤は、正直あまり好みではなかった。それでも先が気になって観てしまったのは、財閥三世で本作の悪役となるテオの憎ったらしいキャラが強烈だったからなのだと思う。コイツのやる事成す事がいちいちムカつく感じで、目が離せない。

財閥の隠蔽体質や、警察上層部から圧力を描いた中盤を挟んで、後半は主演のファン・ジョンミンによるアクション・シーンが炸裂。ここに来て、序盤で紹介された捜査隊のメンバーのキャラクターが活かされる仕掛けになっていて、ビジュアルだけではなく、伏線の回収もビシバシ決まって本当に気持ちが良い。繁華街を舞台にしたカーチェイスから格闘シーンへの流れは、韓国の街の熱気をそのまま凝縮したようなエネルギーを感じさせて最高に熱かった。!

それにしても、警察組織や大企業を悪役にしたこの作品が韓国で1200万人の大ヒットっていうのが、いかにも韓国らしい。権力に立ち向かう刑事達の姿を描いた作品が支持される韓国の映画文化が羨ましい。