マウス1969

ベテランのマウス1969のネタバレレビュー・内容・結末

ベテラン(2015年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

映画館で観るつもりで、チケットもネットで購入したのに、当日、発熱で断念。「良かったよ~」という声を聞くたび、「『ベテラン』観なければ・・・」と言い続けて、2年以上。ようやく、初恋の人に出会えた感じ。
もう、最高でしょう。軽やかなオープニングから引き込まれたし、ユ・アインの悪辣ぶりも期待度以上。そして、怒涛のクライマックスへ。
役者が皆、最高。ファン・ジョンミンは、どんな役をやらしてもうまいし、脇を固めるオ・ダルスやユ・ヘジンも見事。
「スーパーマン」が出てくるわけでもなく、皆、「人間臭い」ところが良かったですね。買収工作をきっぱり断った刑事の妻が、「でも心が揺れた」というシーンはグッときたし、最初は、上層部の圧力に屈しそうになっていた隊長が、若い刑事が刺されたと知った瞬間、やる気をだすところとかね・・・(「主婦賭博団」って何?)
ユ・アインにしたって、ユ・ヘジンにしたって、財閥の「本家・本流」ではないという点もきちんと背景には描かれているところも、「財閥=悪」という単純な図式ではなく、深みが出ている。
全体として、ファン・ジョンミンが強すぎたり、「マンガ」っぽいトーンで進んでいくんだけど、「リアル社会」ではこんなにうまくは行かない」という、韓国社会の現状の裏返しかなとも思いました。
(モデルになった事件ってのがWikiに載ってるんですが、財閥の創業者の甥が、デモをしていた系列企業の運転手を自室に呼び出して金属バットで殴り、全治2週間のけがを負わせた事件で、この創業者の甥は、執行猶予付いてるやん・・・(ため息))

この映画って、暴力的ではあるんだけど、人は誰も死んでないんじゃないかなあ。ラストも、殺されかけた運転手が目を覚まし、子供が書いた絵で終わるという、あくまで、「弱者」に寄り添った視点を崩さなかったところが、とても好感が持てました。
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