もやし

母よ、のもやしのレビュー・感想・評価

母よ、(2015年製作の映画)
5.0
ズンと来たな…

監督の自伝的ヒューマンドラマ。
余命わずかの母と接する女性を描いてる。

母とのやりとりはそんなには多くなく、日常を全部描いてる感じだった。
母親の病気と主人公の映画の撮影が重なっていて、撮影シーンと病室のシーンの雰囲気の違いで不思議な感覚で見てしまう。
ベテラン俳優のバリーの陽気さというかユーモアというか雑さというか、存在感あった。彼は台詞が中々覚えられず、撮影が中々上手くいかない。
母親もどんどん病状が悪化していくし、主人公が撮影現場でかなり荒れてるのが見てられない。

もう別居してしまっている旦那と子供、母に尽くす弟など、色んな関係性がある。

母親の言葉一つ一つが何とも哀しくなってしまう。
最初は「ここにいると馬鹿になる」なんて弱々しく愚痴ってたが、時と共にもっと弱気になる。
元教師らしく、とても教養のある人なのが伝わってくる。

日々色々起こるけど、とにかく時間だけは否応なく過ぎる。否応なく物事は進んでいく。
それがこの映画見てて一番思ったことだった。
人がどんな感情を抱こうが関係ない。
でも登場人物の心情の変化がしっかりと描かれていて、それもまた辛い。

エンディングの音楽が本当に悲しくて、聞いてたらズーンと来た。
人の死って本当にどうしようもなく悲しいことだと突き付けられた。


本質的にはとても悲しすぎる映画だけど、物語の多くを占める撮影のシーンや何気ない会話のやりとりや場面がいちいち魅力的だからかなり見入ってしまう。
シーンの切り替えが鋭くて、とてもキレのある感じがある。ゆっくりした感じは全然ない。
日々の沢山の出来事を描くシーンに翻弄されててよくわからない内にどうしようもない現実を正面から突きつけられて、行き場なし…
ただただ悲しかった。
もやし

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