母よ、の作品情報・感想・評価

母よ、2015年製作の映画)

Mia madre

上映日:2016年03月12日

製作国:

上映時間:107分

3.5

あらすじ

映画監督のマルゲリータは恋人ヴィットリオと別れ、娘のリヴィアも進路問題を抱えている。さらに兄と共に入院中の母親・アダの世話をしながら、新作映画の撮影に取り組んでいるが、アメリカ人俳優バリー・バギンズが撮影に参加した途端、思うように撮影が進まず、大きなストレスを抱えるように。そんな中マルゲリータは病院から母親の余命宣告を受ける。

「母よ、」に投稿された感想・評価

ユタ

ユタの感想・評価

4.3

このレビューはネタバレを含みます

女性映画監督のマルゲリータはアメリカ人俳優を迎え社会派映画を製作中だが衝突が絶えず上手くいかない。さらに別れた夫との間に生まれた娘との問題や恋人との別れなど困難を抱えていた。そんな中、入院中の母親が余命いくばくも無いと宣告されるが…


とても繊細で優しい映画だった。主人公のマルゲリータは一本筋が通っていて真面目な女性なのだけど、悪い意味での真面目さ、気性の荒さから周りを苦しめ、傷つけてしまっている。その事に少しづつ気づきながら、周りを認め受け入れながら成長していく話と平行しつつ、母親との関係が描かれる。

映画の中でマルゲリータは社会派映画の監督をしていて、その中で何度も役になりきるな、「キャラクターの隣にいる役者を見たい」んだ、という事を役者に指示するのだけど、
その「役の隣に寄り添う」と言う事は、実はマルゲリータ自身も気づかねばならない事。
娘として、母親として、妹として、恋人として、映画監督として、
それぞれの役割を夢中でこなそうとしていると見えなくなるものがある。
少しその役割から距離を置き、自分を、周りを見つめる事も重要なのだ。
(そういえば、モレッティ監督自身の投影とも言える主人公の、兄の役をモレッティ監督が演じている=彼もまた自分自身の隣に寄り添っている。)
「時には自分を解放して軽快になれないのか?」とマルゲリータに兄が諭すシーン、あれはモレッティ監督が自分自身に問いかけているのだろう。


また、映画撮影中の運転シーン、食堂でのシーンも面白いし、マルゲリータの心象風景とも言えるような床に水があふれるシーン、トイレに母親を起こそうとするが…と言うシーンなど心に残るシーンがたくさんあった。

そしてあの忘れがたい最後の台詞。今年一番のラストショットかも。

人生で困難がいくつも重なって、このずっと続いていくような暗闇はいつになったら晴れるんだろう?と感じる時期って誰でもあると思うけど、
そんな時期を経験した人、またそのまっただ中にいる人に見て欲しい人生讃歌。
感動を期待してみたので、
どこらへんで感動するかと
真剣に見過ぎてしまい
余計に物語が難しく感じた。
ガーコ

ガーコの感想・評価

2.5
てっきり病気の母の話だと思っていましたが、予想外に母を介護する娘の話でした。

映画監督という仕事を持ちながら、母親の介護をするという忙しい日々を送る女性。

仕事仲間との対立ばかりで、イライラが募るとともに、娘との会話もギクシャクしてしまい何だか上手くいかない姿が哀れです。

相手のことを少しでも思いやることが出来たら、仲間との関係も良好になるのかもしれませんが、それに気がつかないところが残念な女。

自分の求める仕事をキッチリやりこなそうとする責任感は男性顔負けですが、もう少し肩の力を抜いて生きて欲しかったです。
coro

coroの感想・評価

4.0
ストップ

このレビューはネタバレを含みます

職業人、母親、妹、娘、妻… 主人公の女性が持っている多面的なアイデンティティを丁寧に描いている。そして彼女もまた、自分の知らなかった母の一面を、母が亡き後に知るのだった。
この作品を観ていると、「現実(として進行している映像)」と「夢または回想もしくは想像」の両シーンが入り繰らせた映画になっているので、観ているこちらは途中から「この場面は、現実か?それとも夢か?」と混乱させられるので、非常に観づらい。

こうした作り方で観客を戸惑わせる映画は好きではない。

また、物語は、兄と妹=映画監督、そして母親を中心に描かれるが、女性映画監督はこんなに情緒不安定で映画監督なんて出来るのか?と思ってしまう精神錯乱状態。
これまた観ていてイライラする。

一般的には良い映画ということになっている雰囲気はあるが、自分には全く合わなかった。
寝たし何も覚えてない
備忘のために

- これも、ようやくキャッチアップ。というか、個人的には見るべき時期が来たなって感じだな。そもそもモレッティという監督は、人生を映画にし、映画を人生にしてきた監督なんだけど、自伝的でありながら、普遍的な作品に仕上げてくるあたりは、期待通りというか、巨匠の風格かな。

- 冒頭の労働争議のシーンがよい。あそこで実にうまく映画と現実を混線させてくれる。それは警官との激しいぶつかり合いのシーンを撮っているシーン。つまり映画のなかの映画という設定。

- それにしても、映画のなかの映画が工場労働者たちと、外国からやってきた資本家という、いかに古色蒼然とした設定にしてあるのが興味深い。これって、モレッティ自身への皮肉なオマージュでもあるのだろうな。

- 実際にモレッティの母の死は、『Habemus papam』(邦題:ローマ法皇の休日)の撮影中に起こったというのだけど、教皇と枢機卿たちの映画は、資本家と労働者たちの映画へとずらされているわけだ。

- この映画で映画的なのは、ジョン・タトゥーロのダンスシーンに違いない。衣装係の女性とアラビア風のビートが効いた音楽にあわせて踊るその踊りは、映画のなかの映画でもなく、映画のなかの人生でもなく、リアルなハプニングとして現前する名シーンだ。

ある意味タトゥーロはモレッティの代わりに踊ってくれたのだろう。ぼくたちは、実のところ、あのエキゾチックで幸福な踊りのなかに、もう踊れなくなったモレッティの姿を見ていたというわけだ。

- 出たことのないキューブリック作品の撮影を語り、ロッセリーニの名前を叫び、ニーノ・ロータの「Bevete più latte (もっとミルクを飲もう)」を歌うタトゥーロ/バリーは、まるでフェリーニの道化だ。彼が顔を覚えられず、スタッフの写真を持ち歩いているのには、常に新しい顔を求めて写真を壁一面に貼っていたフェリーニのことを、思い出してしまう。

- 母のアーダを演じたジュリア・ラッザリーニがすばらしい存在感だったな。彼女はストレーレルに鍛えられた舞台女優だという。なるほど、愛されるラテン語教師という雰囲気が出せるはずだ。なにしろ、ラテン語教師に「愛される」という形容詞をつけるのは、至難の技なんだよね。

- ラストシーンもうまいね。きっちりオープンエンディングにしてくれている。それにしても、マルゲリータ・ブイの真っ青な眼差しは、もしかすると『甘い生活』のパオリーナへの、これまた反転したオマージュだったのかもしれないな。
監督の半自叙伝的作品。
重大な個人的事情と、無関心に周るその他の対比。
(ワンシーン抜粋)
家族と仕事両方での「それどころじゃないのに」で打ちのめされている主人公、夜中眼が覚めると、漏水で部屋が水浸しに。
感情もピークを迎え泣き崩れ、そのまま入院中で誰もいない母の家に行く。思い出に浸りながらソファで短い睡眠を取る。
朝、チャイムで起こされドアを開けると電力会社のセールスマン。電気料金の請求書を見せてくれたら、それよりもどれだけ自社が得か説明すると言う。精神的にも肉体的にも疲弊しきっている主人公は、逆にセールスマンを追い返さず部屋に上げ、あらゆる引き出しを開けてそれを探し回る。普通でない様子に「また来ます」という彼を引き止め、「ここにあるはずなのに」と言いながら、主人公はまた泣き崩れる。
全てが去った後に残るのは、美し過ぎる記憶と、それにもう触れることのできない悲しみ。
もやし

もやしの感想・評価

5.0
ズンと来たな…

監督の自伝的ヒューマンドラマ。
余命わずかの母と接する女性を描いてる。

母とのやりとりはそんなには多くなく、日常を全部描いてる感じだった。
母親の病気と主人公の映画の撮影が重なっていて、撮影シーンと病室のシーンの雰囲気の違いで不思議な感覚で見てしまう。
ベテラン俳優のバリーの陽気さというかユーモアというか雑さというか、存在感あった。彼は台詞が中々覚えられず、撮影が中々上手くいかない。
母親もどんどん病状が悪化していくし、主人公が撮影現場でかなり荒れてるのが見てられない。

もう別居してしまっている旦那と子供、母に尽くす弟など、色んな関係性がある。

母親の言葉一つ一つが何とも哀しくなってしまう。
最初は「ここにいると馬鹿になる」なんて弱々しく愚痴ってたが、時と共にもっと弱気になる。
元教師らしく、とても教養のある人なのが伝わってくる。

日々色々起こるけど、とにかく時間だけは否応なく過ぎる。否応なく物事は進んでいく。
それがこの映画見てて一番思ったことだった。
人がどんな感情を抱こうが関係ない。
でも登場人物の心情の変化がしっかりと描かれていて、それもまた辛い。

エンディングの音楽が本当に悲しくて、聞いてたらズーンと来た。
人の死って本当にどうしようもなく悲しいことだと突き付けられた。


本質的にはとても悲しすぎる映画だけど、物語の多くを占める撮影のシーンや何気ない会話のやりとりや場面がいちいち魅力的だからかなり見入ってしまう。
シーンの切り替えが鋭くて、とてもキレのある感じがある。ゆっくりした感じは全然ない。
日々の沢山の出来事を描くシーンに翻弄されててよくわからない内にどうしようもない現実を正面から突きつけられて、行き場なし…
ただただ悲しかった。
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