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美しいとき/サマータイムのmaiのレビュー・感想・評価

美しいとき/サマータイム(2015年製作の映画)
3.7
レズビアンとしての恋愛を、都会・田舎という構造の中で描いているちょっと珍しい映画です。
田舎から出てきたデルフィーヌが都会の自由な雰囲気に憧れるのも分かるし、キャロルに一目ぼれのような形で恋するのも凄く理解できます。
一方で、田舎から出てきた女の子なのにどこか挑発的なところもあるデルフィーヌに惹かれるキャロルも凄く共感します。
お互いがお互いの中に、自分が触れてこなかった世界を見るからこそ、あんなにも急速に距離が縮まっていったんでしょう。反面、その関係性は多くの場で受け入れてはもらえないものでもあります。もちろん、キャロルの彼氏は激怒しますし、デルフィーヌは田舎での暮らしを考えると自分がレズビアンであることを隠して生活して結婚して…というシナリオも考えます。
そこには、田舎と都会のどうしようもない隔たりが存在していました。
都会の人からすれば、家に囚われて自分のしたいライフスタイルを送れないなんて…という感じでしょうが、それが当然だと思います。でも、田舎暮らしには田舎暮らしのセオリーやルールがあって、そこを「自分はこうしたいから」と意見を押し通すのはなかなか難しいですよね。そして、田舎あるあるだとは思うんですけど、横にも縦にも繋がりが強い分さらに難しい。

確かに、二人の関係を続けていくのは難しいものがあります。でも、誰にも干渉されずに二人でいるときの美しさ…素敵でした。
うまくいかないことが多いけど、二人でいる時間は確実に二人にとって休まる時間であり、タイトル通り「美しいとき」だったと思います。

田舎ののどかな風景もきれいでした。
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