Monsieurおむすび

美しいとき/サマータイムのMonsieurおむすびのネタバレレビュー・内容・結末

美しいとき/サマータイム(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

1960年代の公民権運動、プラハの春、五月革命を経た1971年。田舎で家業の農場を手伝っていたデルフィーヌはパリでの生活を始め、女性解放運動の活動家キャロルと出逢い惹かれ合っていく。。。

自由を肌で感じ、謳歌できる都会と、常識に囚われ、狭いコミュニティーが総ての田舎、対照的な土地で2人の営みが描かれる。
長閑で雄大な自然を有するにも関わらず、そこで生きる人々が最優先するのは「生活」をすること。そこで育ったデルフィーヌにはどうしても同性愛者であることが後ろめたさに繋がってしまう。
互いに自分にはない魅力に惹かれていたのに、それらを形成したアイデンティティーとも言える故郷や家族によって歯車を狂わされてしまう皮肉。

自由と愛を獲得する過程で、または獲得後も規範や偏見が障壁となるもどかしさ。
彼女たちの愛も時代や地域性によって叶わなかったのだけれども、エピローグ的な5年後の世界では共に成長した姿に安堵した。
きっとその胸の内には、あの美しいひと夏が消えずにいたのだろう。
Monsieurおむすび

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