ドルフィンキック

夏ノ日、君ノ声のドルフィンキックのレビュー・感想・評価

夏ノ日、君ノ声(2015年製作の映画)
5.0
「薄れゆく記憶のなかで」主演の菊池麻衣子さんが、出演されていると知り、以前から、気になっていたので、見ました。
正に、青春ラブストーリーの王道を行く作品で、結末も、予想どおりで、目新しさや特に、これと言った、大きなサプライズや捻りは、なかったのですが、でも、劇中、山場が、何度も、あって、見応えがあったことと、主演のお二人のピュアな演技が、とても良かったので、素直に感動しました。

お客様を呼べる、人気の高さや知名度が優先される、大きな映画館の大きなスクリーンで、劇場公開されるような、大作の20代の高校生役の垢抜けた役者では、表現出来ない様な、その年代(10代)しか出せない様な、初々しさみたいなものを感じることが、出来たので、ナイス!キャスティングだったと思います♪(個人的な意見ですが。)

特に、ヒロインの荒川ちかさんは、表現力が、素晴らしくて、表情だけで、相手に気持ちを伝える難しい役柄を好演されて、ナイスでした!
笑顔が、印象的で、とても良かったと思います。

主題歌の N.O.B.U!!!さんの「君 ノ風」も、作品のイメージにも、ピッタリと、マッチしていたし、曲自体も、とても良い曲で、グッと来るような、歌詞と、キャッチーなメロディーの組み合わせが、絶妙で、心に響きました♪
https://www.youtube.com/watch?v=RNqmv0gbFEU

総合的には、人気アイドルを抜擢したり、有名な漫画や小説を原作としたり、流行りのミュージシャンを主題歌に起用したりせずに、フック(売り)をあまりつけず、単館系(ミニシアター系)らしい、中身で勝負した、作品に仕上がっていたのは、好印象でした。失礼ですが、菊池麻衣子さん以外は、当時、まだ、物凄く有名な役者さんは、誰も、出演されていなかったし、N.O.B.U!!!さんも、本作で、初めて、知りました。でも、そう言ったところが、ミニシアター系の小粒な作品の魅力なんですよね。

例えるならば、「薄れゆく記憶のなかで」と「半分の月がのぼる空」を足して二で割った感じでしょうかね。
少し、オーバーで、褒め過ぎですけれど、現代版「薄れゆく記憶のなかで」とも、言えるかもしれません。

「薄れゆく記憶のなかで」と共通点も、多くて、例を挙げると、「夏」、「青空」、「切ない」、「現在と過去が行き交う回想形式の物語」、「高校時代の恋物語」、「外出してのデート」、「心に傷を負った男性の再生」、「やんちゃな男子を好きになる女子」、「自転車の二人乗り」、「二人が、デートをした思い出の場所」などなど、本作と「薄れゆく記憶のなかで」の二つの作品を見比べてみると、上記に挙げたような、色々なキーワードが重なり、グッと来たし、そして、ラスト手前のクライマックスでの二人の思い出の場所である、灯台へ行ってからのまさかのサプライズ?は、ひょっとして、「薄れゆく記憶のなかで」の衝撃のラストの史節橋での「カズ君~。」へのオマージュだったりして?
あのシーンは、見ていて、思わず、「おお~。」って、唸ってしまいました。(見当違いかもしれませんが。)

あと、ヒロインの荒川ちかさんの役名が、麻衣子ならぬ舞子で、これも、菊池麻衣子さんへのリスペクトだとしたら、粋な計らいだと思いました。

それから、「薄れゆく記憶のなかで」で、初々しい演技を披露してくれた、香織役の菊池麻衣子さんが、本作では、立派な母親役を演じられていて、感慨深かったですね♪

素敵なラストシーンにも、思わず、ほっこり、切ないけれど、作品を見終ったあと、爽やかな感動が、味わえるような、そんな作品でした♪