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モンタナの風に抱かれてのとぽとぽのレビュー・感想・評価

モンタナの風に抱かれて(1998年製作の映画)
3.5
癒やされる…見てるこっちまで自然と優しい気持ちになれるレッドフォード節良作ドラマを心ゆくまで堪能

心を通い合わせるのには時間がかかる。いわゆる(流行りの)"スローライフ"ではないかもしれないけど、そうした必然性が心温まる本作を広大な自然とともに形作っている。将来に期待してばかりでなく、もっと今を受け入れ大切にすること。そんな大事なことを教えてくれるよう。だから3時間近い意味がある。それは信頼関係を築くのに必要な時間。生半可なことじゃない。熱心かつ優美で、見る者を包み込む。作り手としての熱量、情熱が迸っているのを確かに感じる力強さ。作品としてよくできていることは否定できまい。
馬次第。馬は本能に人間への不信を抱えている。事故が原因で暴れ馬となった少女の馬を、"ウィスパラー"と呼ばれる馬に寄り添い彼らの心に耳を傾け言葉をささやく者に診せることにする母親。そんなトムとの出逢いは、人の心も診るみたいに時間が優しくあたたかく溶け合っていく"西部劇"。大自然とカウボーイハットがやっぱりよく似合う。やっぱりぼくはカメラの前でも後ろでも等しく魅力的な映画人ロバート・レッドフォードが大好きだ!どのカットも演出の意図が手に取るみたいに伝わるようだった。丹念、丁寧に作り込まれているのが分かる。『普通の人々』が好きで、傷ついた人々、とりわけ親子・家族関係を描いた共通するテーマとあたたかな眼差し。怖いものってある?歳を取って働けなくなること。彼は"こんにちは"も"さよなら"も苦手。変われない。
癒えない傷を負った者同士、結んだけど解ける。例えばドリュー・バリモアにとってのスピルバーグ『E.T.』、ナタリー・ポートマンにとってのマイケル・マン『ヒート』のように、スカヨハには本作があったと知る。事故によって心を閉ざしたグレース。そして編集長として都会での忙しない生活に追われている母。電話という象徴にリモートワークの先駆け。努力するほど(娘との関係は)壊れていく。共演はクリス・クーパー、ダイアン・ウィースト、サム・ニール。からの恋愛ドラマにもなる。また恋するとは…ここの暮らしが僕という人間だ。提案がある、急ぐな。ピルグリムを見てたら自分の姿が重なった。馬は走らせて帰るのかい?見送りたくてね。彼女が最後に出した決断とは…?

勝手に関連作『ザ・ライダー』『普通の人々』『マディソン郡の橋』『リバー・ランズ・スルー・イット』『イングリッシュ・ペイシェント』
それは彼女に聞いて、悪かったなら謝るよ
答えが出るまで戻ってほしくない
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