えむえすぷらす

ダウンサイズのえむえすぷらすのレビュー・感想・評価

ダウンサイズ(2017年製作の映画)
5.0
アレキサンダー・ペイン監督じゃないですか、と知って慌てて見た。
面白い。

上田早夕里「華竜の宮」というSF小説があるのですが、この世界観を穏やかに見せた作品だと思う。
片眉、ペイン監督知ってるの?とか突っ込み入れたくなる展開が冒頭にある。そして後半一気に物語の構図は変わる。でも穏やかなんです。何もかも知った上で主人公と片足を失い母国から追い出された女性はぶっちゃげた事を言い合う。そこで皮肉に見ていた脇役が「あいつ根性なしだから大丈夫だよ」というろくでもない台詞を言うけど、彼らがそういった理由、意味は思っても見ないものだった。

穏やかな滅びの風。それでも俺は、私は生きていく。そんな物語。私は好きだな。

宣伝、監督名もっと出すべきでしたね。

なお「華竜の宮」は大変尖った遺伝子SF小説でもあります。過激です。でも本作が狙った事とわりと被っている。そのテーマに対する向き合い方や結論が両者大局的で面白い。そして本作も過激な事を言っていると思います。ダウンサイジング者に対する差別意識。ある事が分かった時の対照的な対応の選択。そしてそこでもまた差別意識がある。
いったい誰と一緒にいたいと思うのか。そういう問いかけがずっと為されている。