『ネブラスカ』につづいてまたペイン監督にやられた。
人に親切だが、さえない中年男が本作のマット・デイモンの役どころ。経済的な理由でダウンサイジングする。地球に代わってありがとうと案内の男は言う。地球の持続可能性にも良いのだ。
彼は運命的なめぐりあわせや、人生の大義がほしくなったりする。有名人に会うととても嬉しい。ダウンサイズしてここに来た自分の人生に何か意味があると思いたいのだ。
友人や愛する人。それ以上に何が必要なのだろう。マット・デイモンの表情はそこで満ち足りたものになる、わけではない。アレクサンダー・ペイン監督の真骨頂だろうと思う。
単純には割り切れない人生という預かりもの。
マザーテレサは言ったそうだ、世界平和を思うなら、家に帰って家族を愛しなさいと。たぶんその通りなのだと思う。でもそれだけじゃ・・・と思ってしまう人をペイン監督は優しく可笑しく描いている。