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ダウンサイズのマーチのレビュー・感想・評価

ダウンサイズ(2017年製作の映画)
3.8
何でこんなに評価低いんだぁーー!
十分面白いじゃないかぁーーーー!!


【レビュー🐜】

《イッツ・ア・スモール・ワールド🗺》

な、なるほどぉ〜!笑
確かに[人が小さくなる]っていう触れ込みだけだとSFチックな展開だったり、ド派手なアクションを期待しまいますし、それを期待した人たちが肩透かしをくらって低評価に繋がってると思うのですが(ロッテントマトでは酷評されているが、IMDbではそこそこ評価されている)、個人的には割と楽しめた作品でしたし、「アレクサンダー・ペイン真面目だなぁ〜 笑」と思わずにはいられない内容でした。

というのも、SFやアクション筋の人たちからすれば「小さくなったんだから外部攻撃(例えば通常サイズの人間による支配、昆虫や動物による強襲 等)によるコミュニティの崩壊を描いた方が面白いじゃん!」と思うと思われるのですが、その手のB級作品ってありふれてるじゃないですか…だからこそアレクサンダー・ペインは至極真面目にドラマ性に比重を置いた今作を製作したと思うんです。この作品の焦点となっているのは環境問題で、社会派的なメッセージもビンビンに詰まってはいるのですが、個人的には1人の男のロード・ムービーとして観ていたので彼が小さくなってから出会う数々の人々と、その繋がりに鑑賞後は味わい深さを感じていました。

小さくなったことの意義を映像的に感じる場面は確かに少ないのですが、小さくなったことで資産が膨らんだ人が快適で裕福な生活を送っている一方で、狭く劣悪な環境でおこぼれを貰っては貧しく暮らしている人たちがいる。そんな貧富の差だったり、裕福な人が手を差し伸べ協力し合うことで生まれる“社会のあるべき姿・対等な人間としての関係性”をこの作品は映し出していて、それは小型化された人間同士だからこそ生まれる共感による融和だったり、出会うはずのなかったであろう人たちの出会いだったりすると思うんです。そういった部分を重点的に今作は描いているので、自分はこの作品が好きなんだと思います。

妻に捨てられて悲しみに耽っている男をマット・デイモンが好演していますし、キャスト知らずに観たのでクリストフ・ヴァルツの登場には興奮しましたね。笑(ヴァルツのファーストカットは最高ですよ!)
また、昨年の賞レースでも話題に上がっていたホン・チャウの演技は申し分なく素晴らかったです。結構大雑把な性格の女性を演じているのですが、泣きの演技がとても繊細だったので私自身思わずもらい泣きしてしまいました😢笑 とにかく彼女の演技が見れただけでも今作は観る価値ありました!!

「小型人間=ド派手な展開」ではなく、たまにはしっとり心に馴染むタイプの小型人間映画があってもいいと思います。巨大人間と小型人間の棲み分けは支配されている共同体と同調意識による共同体という違いも表していましたし、何より固定観念に囚われずにヒューマンドラマとして描き切ったアレクサンダー・ペインに拍手を送りたいところではありますが、脚本に余分な箇所と内容を詰め切れていない部分が多いのと、正直135分の長さにするまでもなく、編集の時点でもう少し切れるところのある作品だとは思いました。でも、長いながらもテンポは個人的に結構好きな方で、ほのぼの観ることができました。

【p.s.】
あまり大小を比較する描写が多くない作品ではありましたが、私が個人的にミニチュア好きということもあってか巨大人間と小型人間が同じ車内にいる場面でのシュールさは視覚的にも好きな方でしたし、普通サイズの箱とかに小型人間が座っているだけでワクワクしたのは言うまでもありません。笑

皆さん、田中達也さんをご存知ですか?
既視感のあるものから新たな世界を創造することに長けているミニチュア写真家の方で、私はカレンダー買ったりとかするぐらい好きなのですが、是非とも田中さんには一度ストップモーションか何か作って欲しいです! そう思わずにはいられないぐらいキュートでポップな統一された世界観が素晴らしいので、皆さん是非一度「田中達也」で検索してみてください!!

やっぱりわたしはミニチュアが好きなんですよね…映画のフィギュアとかも小さいのばっかり買っちゃうし…うん、自分が今作に好意的なのも納得ですわ。笑


【映画情報】
上映時間:135分
2017年/アメリカ🇺🇸
監督・脚本:アレクサンダー・ペイン
脚本:ジム・テイラー
出演:マット・デイモン
クリストフ・ヴァルツ
ホン・チャウ
クリステン・ウィグ
ウド・キア 他
概要:人類が縮小可能になった未来社会を
舞台に、社会風刺を交えて描くドラ
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