たかやん

教祖誕生のたかやんのレビュー・感想・評価

教祖誕生(1993年製作の映画)
3.5
インチキ新興宗教一行と遭遇、彼らの地方行脚についていく荻原聖人演じる主人公が教祖をやらされる羽目になる、たけし流"教祖のつくり方"。

僕は黒沢清監督の『CUREキュア』を見てるので、荻原聖人が教祖になると聞いても大して違和感なく、むしろ霊感強そうでかなりの適任者に思えてしまう。そもそも個人的には冬ソナでペヨンジュンの吹き替え担当してただけに、声色が神に近そうなんですよね~(笑)

以下だらだらとこの映画で考えたこと。

この映画では北野武&岸部一徳の無神論者コンビが教団を牛耳ってましたが、幹部には無神論者も有神論者もどっちもいる方が組織的には健全そう。要はバランス感覚?教祖が崇められ過ぎると暴走に歯止めがかからないし、逆に偏ると教祖がぞんざいに扱われすぎて…。それを極端に見せた描写も見られたのは面白い。

「どうして教祖になるとみんなその気になっちゃうのかな?」
傀儡政権も同然だろうがトップが夢見がちなのもなんだか皮肉的。

今回はインチキ宗教の中のお話だけれども、そもそも本物の宗教なんてあるのかなぁ?なんてことも考えこんでしまう。宗教すべてがある意味本物でもあるしインチキでもあるのでは?と。どんな世界宗教も最初はこの映画のたけし教団と変わらない弱小宗教だったはずだから…。

ただこの映画の出来自体はやや物足らない。色々と興味深いことが多かっただけに「もっと面白くできたはず!」という気持ちでいっぱい。といっても当時はオウム全盛期(?)の93年公開映画だったので、これ以上は切り込めなかったのかもしれませんが(^^;
だとしたら今の時代の僕がどうこう言えるものではないですね…