ヘタウマな甘い声で歌っていたのはそういうことだったのか。そしてあの湿った独特の音はそういうことだったのか。
知ってしまった以上今までのようにロマンチックな環境音楽としては聴けなくなった。
聴こえる音がひとつひとつ苦しい。
イーサン・ホークがとても良い。
この映画ではチェット・ベイカーの悲劇的な最期は直接的に描かれないが、確実にそちらへ舵を切ったその夜を、イーサン・ホークが目だけで演じる。凄まじい。
1959年にTorinoで撮影された映像がYouTubeにある。マイ・ファニー・バレンタイン。チェット・ベイカーが若い頃の映像で、ステージに立つ彼は黒のサングラス。うしろのテナーサックス奏者が終始不安そうにしている。怖かったんだろうな。本人も周りも。
今回、映画で背景を少し知ってしまったので、余計にそう見えるのだろうが。
もちろんフィクションではある。
ただ実際はこの映画よりもっと厳しく寂しい人だったんじゃないかな…などと思いを馳せてみたりする。
おまけ
最近、偶然、マイルス・デイビスのインタビュー動画を関西弁にしたオモシロ動画を見たので、やはりこんな感じの強めのキャラだったんだなと再確認。
興味のある人はYouTubeで
「マイルス・デイビス 関西弁吹替え」
と検索してみて。
ある意味、目から鱗です。