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ブルーに生まれついてのRyuのレビュー・感想・評価

ブルーに生まれついて(2015年製作の映画)
3.7
1950年代にジャズ界で活躍していたトランペッターでボーカリストでもあったチェット・ベイカー。しかし薬物に溺れていき、刑務所で服役していた。1966年。チェットの伝記映画が製作されることになり、チェットは自ら自分役を演じることになる。撮影を進めていたが、ある時麻薬の売人に襲撃され、暴行を受けたチェットは怪我によりトランペット奏者としてのキャリア終焉の危機に陥る。そんな彼を支えたのは、映画撮影でチェットの2番目の妻を演じる新人女優のジェーンであった。

ジャズには詳しくなくて、チェット・ベイカーという人のことも全く知りませんでした。
ドラッグにより堕ちた人間のお話であるため、見ていて気持ちよくはないです。終始、苦しくて切なくて⋯。その決して良い気持ちにはなれないストーリーにジャズがまぁ映える。ちょっと悲しげな雰囲気がある音色が渋くて美しい。
献身的に支えてくれる恋人のジェーン。やはり何かを克服したりするのって、こういう人の存在がいるかいないかでめちゃくちゃ変わってきますね。チェットも彼女を愛しているから、クリーンに生きていきたいと心では思っているが、身体はクスリを求めてしまう。これがドラッグの恐ろしさですね。ラストの展開も非常に切ないんですよね。
この時代の音楽人ってドラッグに溺れる人が多くて、そういう人ほど音楽の才能や情熱があった人が多かったようなイメージがあります。このチェット・ベイカーも然りですね。
チェット・ベイカーを知らなかったので、イーサン・ホークがどこまで彼に近づけていたのかはわかりませんが、あの独特な歌声はなんかクセになる魅力がありました。そして演技もさすがです。
才能や情熱、大切な人がありながらもドラッグで堕ちてしまったチェット・ベイカー。改めてドラッグの依存性や恐ろしさを感じることができました。そしてチェット・ベイカーというトランペット奏者を知れた という意味でも観てよかったなぁ と思える作品でした。
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