鰹よろし

サイレント・ナイト 悪魔のサンタクロースの鰹よろしのレビュー・感想・評価

2.7
 クリスマスのとあるコンテスト(審査?)に向け、白髭をたくわえ赤服に身を包んだ500人が押し寄せた、かつて製材所で栄えていたものの今は都会から隔絶され廃れてしまった田舎町で突如残忍な連続殺人事件が発生。犯人はサンタクロースの格好をしているとの目撃情報があり、開始早々容疑者は絞られ解決は時間の問題かに思われた...

 煩悩塗れド変態牧師、子どもの夢クラッシャーサンタ、応援などいらん俺たちだけで解決だ署長、統計マニア、プレゼントにハクション大魔王、蝶々...etc.

 保安官でありながら人妻にしょっちゅう手を出して問題が絶えない若い男(いや逆か、女性の方が町中の男と?)、母を大切にしない小生意気な少女、ヨーロッパとアジアへ展開しているアダルトサイトの運営関係者...etc.

 同僚でもあった夫を亡くしてから初めて迎えるクリスマス(・イブ)を両親と大切に過ごしたかったが、有給休暇返上で現場に出張ることになってしまった、クロスワードパズルに悶々とする保安官の目線によって、

 家族に始まる公的私的な交友関係からその街の現状を紡ぎつつ、白髭のサンタクロースに殺害されていく被害者の事情とターゲットとされる人間の共通項を解き明かしていくことで、街が今に至った背景をも紐解き犯人の正体と動機へとリンクさせる作りはうまい。

 キャラ設定から画作りから個々で遊び心満載ではあるんだけど、後継の作品から観ても大枠がしっかり組み立てられててそこはブレさせないからこそできることで、さすがの手腕と言える。

 ただ、吹替えがそれを越えて勝手にふざけちゃってるから、吹替えで観る場合はくどさを感じて白けてしまうかもしれないのが難点。そういうのが好きな方は良いけど、ダメな方は字幕で。


「13日の金曜日」シリーズ...「ハロウィン」シリーズ...「ザ・フォッグ」(1980)(2005)...「クライモリ デッド・パーティ」(2012)...
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