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あなたの旅立ち、綴りますのKUBOのレビュー・感想・評価

あなたの旅立ち、綴ります(2016年製作の映画)
3.8
2月7本目の試写会は「あなたの旅立ち、綴ります」(原題: THE LAST WORD)。

最初の、若い頃から現在までのシャーリー・マクレーンのモノクロ画像にぐっと心を掴まれる。これは深いい感じの映画だろうな〜、

と、思っていたら、おや? 違うぞ。このばあさん、かなりの偏屈、嫌われ者だ!

完璧主義で何でも自分の思い通りにならないと気が済まない偏屈な金持ちのおばあさん。老いを感じていたある日、ふとしたことで新聞の訃報欄に目が止まり、自分の死後に勝手に書かれては気が済まないと、新聞社に乗り込み、生前に訃報を書くように依頼する。

このおばあさん、ハリエット・ローラーをシャーリー・マクレーン、訃報を書くように頼まれた記者アンをアマンダ・セイフライドが演じているが、この2人がまさにダブル主演という感じでどちらも良い。

ハリエット・ローラーは「スクルージ」でもあり「スティーヴ・ジョブズ」でもある。自分で起こした会社をあまりのワンマンさ故に追い出され、誰に聞いてもお世辞のひとつも出てこない。根っからの嫌われ者なのだ。

そんなハリエットが、アンと出逢い、地域の施設で出逢った黒人少女ブレンダも含め3人で行動するようになり、少しずつ変わっていく。

何より脚本で良いのは、ハリエットだけが改心して終わるような平板なストーリーではなく、3人が、周りの人たちも含めて、お互いに影響しあい、成長し、結果、ハリエット自身が当初は表面的に願っていた「忘れられない人」に真の意味で「なる」ことだろう。

そして私たちは、アン(アマンダ・セイフライド)の目線で、いつの間にかハリエットを愛おしく思っているのだ。

ハリエットとアンをつなぐ地元ラジオ局から流れる音楽の使われ方がいい! ラジオ、レコードなど、ハリエットの生きてきた人生が音楽で語られるのも良い。

心に残るハートウォーミングな一本だ。