みおこし

あなたの旅立ち、綴りますのみおこしのレビュー・感想・評価

あなたの旅立ち、綴ります(2016年製作の映画)
3.5
昨日の『夕べの星』に続いて、シャーリー・マクレーンの新作を試写会で連続鑑賞。昨日の作品でもおばあちゃん役だったのに、あれから22年経った本作でもおばあちゃん役で主演を張っている彼女、本当にパワフル。正直ほとんど見た目も変わっておらず、83歳と言う年齢を全く感じさせませんでした。オープニングで彼女の幼少期から現在までの写真が観られるんですが、いつの時代も本当に輝く美しさで思わずため息。

かつて敏腕キャリアウーマンとして大成した老婦人ハリエットは、自分の人生の最期の迎え方がこれで良いのか葛藤していた。そこで新人ライターのアンに自分の訃報を書くように依頼し、生前にその内容を確認しようとするが...。

「生前に訃報を書く」という切り口から、どんな風にお話が広がるのか予想が付かなかったのですが、好き勝手し放題のあの嫌われ老婦人がなぜそうも他人に対して厳しくあり続けたかの謎が解けたあのエンディング、すごくスッキリしたし目から鱗でした。
自分がどんな生き方をしようが、確かに最終的に訃報を書くのも読むのも他人。そこに周りからのその人の生き方の評価が浮き彫りになってくると思うと、自分の人生はどんな書かれ方をされるのだろうと決して他人事ではない不安に駆られます。全てを自分の力で切り開いてきたハリエットは、月並みな言葉なんかで自分の人生を締めくくりたいはずがなく。彼女から様々な課題を突きつけられて、てんてこ舞いの状態に。
訃報執筆を通して、自分の人生の振り返りをするハリエットとアンそれぞれの価値観が次第に変化していく過程がとても丁寧に綴られていて、自分もハリエットのように毎日を何らかの形で「意味のある日」にできる生き方をしようと思える一本でした。
シャーリー世代の方がご覧になっても、私のようなアマンダ世代の方がご覧になっても何らかの学びを得られるはずなので、ぜひ大切な人と一緒に劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか。

カメラワークがとってもユニークで、ズームインひとつとってもあえて手持ちカメラ感満載で近づいてみたり、ドアが閉まる場面から別のドアを開ける場面に繋げてみたり、まるでMVを観ているようなポップな撮り方が楽しかったです。
正直冒頭彼女が机に足をあげるシーンが引っかかって、アマンダ扮するアンのことは好きになれなかったですが(笑)シャーリー扮するハリエットおばあちゃんにはラストに至る過程でものすごく感情移入して大好きになりました。強い女性が主人公の作品が好みな方はきっとハマるはず!
そしてハリエットが面倒をみることになる少女ブレンダちゃんを演じるアンジュエル・リーちゃんがとにかく見事!陽気でおしゃまで、大人びたセリフでも見事に表現しきる天才子役。今後の活躍が楽しみです。

どう生きるかの意味についてのみならず、ことを叱ってくれる上司や親のありがたみにも気づける感動作。オススメなので来週公開したらぜひご覧あれ!
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