周囲に恐れられ嫌われることを厭わぬ生き方をしてきた強い女性ハリエット。人生の孤独と終焉を感じた彼女は、自ら訃報ライターのアンに執筆を依頼する。ところがアンが取材を始めてみると、家族も同僚も友人達も誰ひとり、彼女のことを好意的に話す人は居なかった。
課題にぶつかると、具体的に課題を分析し、持ち前の明晰さと行動力で解決してしまうハリエット。理想の訃報を作るために動き出す。反発しながらも感化され自らも変わりはじめるアン、口の悪い孤児ブレンダも感化されていく姿が可愛い。
「人生のワイルドカード」であった音楽の選曲はまさに通好みでどれも絶妙、ロードムービー要素など適度なスパイスも散りばめられてる。
予想できる通り、変化と再生の物語なのだけど、都合よく全てが丸く収まるお涙頂戴ではなく、淡々と現実的に描かれる。
娘との再会シーンも(期待とはかけ離れつつ)納得感あるオチだったし、ハリウッド的やらかし感あった教会での朗読シーンでも結局書いた訃報は読まず。“あの瞬間”のアンの入り乱れる感情表現など、なかなかおさえた演出でした。
普通とか常識とかじゃなく「自分に正直に、意味ある決断と行動を」と。家族を犠牲にしても?と反感を感じる人もいるだろうけど、もし親や子供に「家族のために我慢してきた人生だ」なんて言われたら、それこそ最悪なんだよね。
彼女の生き方を全て肯定は出来ないけど、子供達に幸せに生きて欲しいなら、まず親自身が強く幸せに生きてみせること。
日曜午後にピッタリな映画でした。