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男ゴコロはマンガ模様のhi1oakiのレビュー・感想・評価

男ゴコロはマンガ模様(2015年製作の映画)
3.7
誰もが自分が子供の頃、“大人は完璧”だと思っていて、自分が年を経るにつれそれが幻想だとわかる。完全に大人になれてる大人は少ない。
アメリカでのグラフィックノベルの立ち位置がよくわかる作品。グラフィックノベルとは日本人が一般的にイメージする所謂“アメコミ(=ヒーロー物)”以外の対象年齢高めの漫画のこと。そのグラフィックノベルを子供向けの漫画とアートの中間に位置付けて、大人と子供の間を行き来する男に投影しつつ、妻や母を“演じて”いた女には演劇を投影していますね。
題材として扱っているだけでなく、映画そのものがグラフィックノベル(あるいはオルタナコミック)的で、ロバート・クラムやダニエル・クロウズの多くの作品のように、世間で起こっている事件ではなく主人公の内面で起こっている個人的な事件を抑えたトーンでカラっと描く。
男も女も正しいし正しくない。ウィルとチャーリーの最後の会話にすべてが詰まっていて秀逸。いい話じゃないんだけど心は暖まる。なんというか不幸の中に救いを見い出す、最後にニッコリできる話。
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